ビジネスモデルキャンバスとは何か?詳しく解説します!
早速ですが皆さまは「ビジネスモデルキャンバス」をご存じでしょうか?
ビジネスモデルを明確に表現するフレームワークとして、近年スタートアップ企業だけではなく新規事業や既存のビジネスモデルのブラッシュアップなど様々な場面で急速に広まりつつあるフレームワークの一つです。
・ビジネスモデルキャンバスってそもそも何?
・使用することで得られるメリットとは?
などご存じない方もいらっしゃると思いますので、今回、記事の前半ではビジネスモデルキャンバスの概要と構造について、後半では使うメリットと実例を解説します。
この記事を読み終わる頃には、ビジネスモデルキャンバスについて説明できる状態になると思いますので、是非最後まで読んで頂ければ幸いです。
目次
ビジネスモデルキャンパスとは?
ビジネスモデルとは?
ビジネスモデルとは事業で利益を上げるための企業計画を表す仕組みです。
どのようなプロダクトで収益を集めるのか、誰が事業のターゲット層なのか、なぜこのプロダクトではないといけないのか、など5W1Hを論理的に体系化したものです。
もちろん企業や経営者によって様々な目的があると思います。従業員が高いモチベーションで働ける場所を創出したり、自社が開発した製品で世の中を良くしたい思いで経営されている企業もあります。
ですが、どのような目的であろうと必ず一つの共通点があります。
それは継続し続ける事です。
継続し続ける事をゴーイングコンサーン(Going concern)とも言いますが、継続がなければどのような目的であっても果たす事はできません。
ところが市場は常に変化していきます。市場の成熟、グローバル化、テクノロジーの進化などにより「今ままで通り」の経営だけでは事業を継続するのが難しくになっています。
そこで、企業にとってどのように「価値を創り、社会に提供・貢献」できる仕組みを作れるかが重要です。将来でも継続できる企業を構築するための仕組みの設計図としてビジネスモデル企業には欠かせない要素です。
そして、より良いビジネスモデル作り上げ、分析するためのフレームワークとしてビジネスモデルキャンバスを利用します。
ビジネスモデルキャンバス(BMC)の概要
ビジネスモデルキャンバスはビジネスの構造を考えるためのフレームワークです。ビジネスの構造を9つの要素に分類し、それぞれの関係性を可視化するために使用します。可視化することで商品や事業の弱点と優位性を把握することができます。
リーンキャンバスとの違い
ビジネスモデルキャンバスとよく間違われやすいリーンキャンバスですが、ビジネスモデルキャンバスとリーンキャンバスの決定的な違いはリーンキャンバスのほうがビジネスモデルキャンバスよりもビジネスの課題や価値にフォーカスしている部分です。
ビジネスモデルキャンバスではビジネスを取り巻く環境を記述しています。新規事業、または既存事業の継続や発展を目的として、顧客やリソースの関係性を可視化することに向いています。
一方リーンキャンバスは、ビジネスの課題や価値に着目するため、スタートアップ企業などが新事業を生み出すために使用されることが多いです。
ビジネスモデルキャンバス九つの要素
顧客セグメント (CS: Customer Segment)
ビジネスの対象となる顧客を記述する部分です。ターゲットとなる顧客が男性か女性か、または年齢層などを記載します。ペルソナ分析を行い、より具体的に記載することがポイントです。
価値提案 (VP: Value Propositions)
「顧客にとってどのような価値があるのか?」「なぜ顧客がビジネスを選ぶ理由があるのか?」について記載します。
事業の強みを活かして他のサービスと差別化された価値を顧客に提供することが大切です。
例えば飲食店であればビーガンオプションやハラルオプションを提供しているなどです。
チャネル (CH: Channel)
「顧客にどのように価値を提供するのか?」について記載します。
時系列で、認知→購入→提供→アフターサービスと各段階で考えるとわかりやすいです。
例えばあるラーメン屋さんのチャネルは最初お客様に認知してもらうためにSNSで宣伝します。宣伝効果があれば後日お客様はお店に来店し、ラーメンをご購入してくださいます。ご来店になられたお客様が再度来店したいと思ってもらうために割引券の発行をします。この一連がチャネルです。
顧客との関係性 (CR: Customer Relationships)
「顧客とどのような関係性を構築するか?」を考えます。
この項目は事業の発展と継続性に直結するため、ビジネスモデルの強さを決定する一つの要因になります。
例えば、長期契約が多い企業ほど顧客獲得にかける費用がかからないためコストが低減できます。更に、リピート顧客に対してブランドロイヤルティを高めることで既存顧客の気移りや流出を防止することも重要です。
収益の流れ (RS: Revenue Streams)
「誰からどのぐらいお金をもらえるのか?」を記載します。
収益の方法だけではなく、収益化以外の見込み客や無料ユーザーの価値なども記載します。
例えばストリーミングサービスを展開する場合、定額料金のサブスクリプションで継続した関係性を構築するか、またはPPV(ペイパービュー)で単発売り切りをするのかなどです。
キーリソース (KR: Key Resources)
「価値を生み出すためのリソースはなにか?」を記載します。
リソースは一般的に人、物、お金、情報があります。これらのリソース資源を使い、ビジネスモデルで重要となるリソースの特定をします。
例えば飲食店であればキッチン・ホールスタッフの人的リソースやキッチン設備、調理器具です。
主要活動 (KA: Key Activities)
「価値を提供するための活動はなにか?」「価値を生み出すためには何をしなければならないのか?」を記載します。
例えば動画配信事業の場合、営業やマーケティング、アプリケーションやシステム開発が主要な活動となります。
キーパートナー (KP: Key Partners)
「ビジネスを行う上で重要となるパートナーは誰なのか?」を記載します。
近年、自社だけで価値を生み出す企業はほとんどありません。多くの企業は社外にパートナーを持っています。そのパートナーが誰なのかについて記載します。
例えば飲食店であれば、食材の仕入れ先、店舗物件を保有する不動産オーナーなどです。
コスト構造 (CS: Cost Structure)
「ビジネスを行う上で、どのようなコストがあるのか?」を考えます。
ビジネスをやる上では多くのコストがあると思いますが、抜け目がないように記載します。
例えば飲食店の場合は食材費や社員、アルバイトの人件費、店の家賃などです。
ビジネスモデルキャンバス、書き方のコツ
最初は「誰に・何を・どのように」から埋めていきます。具体的には:
①顧客セグメント
②価値提案
③チャネル
④顧客との関係
です。
①~④の次は実行体制に関わる項目を埋めます。具体的には:
⑤主要活動
⑥リソース
⑦パートナー
です。
最後に収益性要素に関連する項目を埋めます。具体的には:
⑧収益性要素
⑨コスト構造
です。
実際に項目を埋める順番はなく、分かる所から記載して問題ありませんが、この順番が一番ロジカルだと言われています。
ビジネスモデルキャンバスのメリット
ビジネスの全体像を把握できる
1枚の紙に9つに分けられた要素を書く事によって各ブロックが互いにどのように影響を与えているのか、そしてどのような関係性でいるのかを見る事ができます。9つのブロックは多角的な視点からビジネスを分析することができ、事業の全体像を把握することに役立ちます。
チームでの認識のズレを防ぐ
ビジネスモデルキャンバスは全ての要素を可視化できるよう一枚のキャンバスに簡潔にまとめられているため、全体が同じ方向を向いてプロジェクトを進めれます。
特に新しい事業をスタートするときには、多くの人の意見が飛び交うため、コミュニケーションに支障を起こしやすくなっています。ですがビジネスモデルキャンバスに立ち返れば全体が同じ方向に向いて、チーム内でのズレがなく目標を共有する事ができます。
競合分析に利用もできる
競合の事業にビジネスモデルキャンバスを行うことで競合分析もできます。
自社の事業を分析するのと同様に、競合の事業を9つの要素に分けて分類すれば競合が成功しているポイント、失敗しているポイントを見つける事ができるかもしれません。
ビジネスモデルキャンバスの実例: 音楽ストリーミングサービスSpotify
全世界で使用されている音楽ストリーミングサービスSpotifyの事例をビジネスモデルキャンバスに当てはめてみます。
Spotifyに当てはめた結果、Spotifyの強みは広告ありの無料プランで数多くのコンテンツをユーザーに提供できる事だと言えるでしょう。
Spotifyのフリーミアムプランは競合であるApple Musicとは異なり広告モデルでコンテンツを提供しているため、ユーザーは無料で楽曲を視聴可能です。
一方、Apple Musicでは無料お試し期間はあるものの期間限定であり、無料お試し期間が終了した後はユーザーはサブスクリプションで支払いを行わなければなりません。Spotifyのように無料で利用することはできないため、無料で音楽を聞きたいユーザーからは敬遠されると考えられます。
また、有料ユーザーの場合は、SpotifyもApple Musicも個人プランであれば月額980円と同価格ですが、双方が提供する独自コンテンツに違いがあります。Apple Musicの独自コンテンツはアーティストの限定配信やBeats 1のRadio、アーティストが作成したプレイリストなど多数存在します。Spotifyにも利用しているユーザーが作成したプレイリストはありますが、独自コンテンツの豊富さではApple Musicに軍配が上がりそうです。
また、楽曲数に関してはApple Musicの方がSpotifyよりも多いですが、邦楽やKpopなど特定のジャンルではSpotifyの方が提供する楽曲の幅が広いのが特長です。
Spotifyの利用ユーザー数の方が圧倒的に多い背景には、広告モデルでの無料プランや特定のジャンルに関して幅広く提供していることがあるのではないでしょうか。
このようにビジネスモデルキャンバスを利用して分析をする事によって、Spotifyの弱みや強みを見つけることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ビジネスモデルキャンバスは、新しく事業を展開する際や、既存事業を発展させる際に、全体像をつかむために有効なフレームワークです。
一枚の紙に9つの要素を簡潔にまとめるため、複数の人間が関わるときでもコミュニケーションミスがなく、共通認識を持ちながらビジネスを進めることができます。
新規事業を展開される方や、既存事業の発展を検討されていてまだビジネスモデルキャンバスを使用した事がない方、是非一度試してみてはいかがでしょうか?
Enlytについて
株式会社Enlytはベトナムに開発拠点SupremeTechを持ち、これまで50以上の開発プロジェクトを行ってきました。ベトナムと日本のグローバルなチームで、数多くのプロジェクトを成功に導いてきました。
Enlytのオフショア開発は、アジャイル・スクラム開発を採用しています。コミュニケーションの透明化を意識してそれぞれの役割で責任の範囲を明確化しています。クライアントも含めたワンチームとして、フラットな関係で開発を進めることができます。
お客様の納得のいくまで、共に開発させていただき、アイデアを最高のかたちにサービス化いたします。
オフショア開発についてのお悩みやご相談がございましたら、下記ボタンより気軽にお問合せください!