3年ぶりのダナンで見えた「国の伸び方」——VinFastとXanh SMが実装する国家戦略
みなさん、こんにちは。Enlytの久保です。
3年ぶりにベトナム・ダナンを訪れました。
街を歩いてまず感じたのは、「密度が上がった」という感覚です。
ホテルが増えている。
観光客の国籍が増えている。
車の数が明らかに増えている。
そして何より、ベトナム国産車のVinFastの車両が街中を走っている割合が高い。
最初は体感かもしれないと思いました。しかし今回は、その感覚を数字で裏付けてみます。
目次
ダナンは「回復」ではなく「構造的成長フェーズ」に入っている
観光客数はコロナ前を超えている
2025年、ダナンの宿泊客数は1,730万人超、観光関連収入は約VND60兆に到達しています。
出典:
VietnamNet
https://vietnamnet.vn/en/da-nang-tourism-surpasses-pre-pandemic-peak-remains-top-regional-leader-2477340.html
これはコロナ前水準を上回る数字であり、単なる「回復」ではなく、次の成長フェーズに入ったことを示しています。

供給側も同時に拡張している
観光客が増えるだけでは、都市は本格成長とは言えません。
供給側も同時に拡張しているかが重要です。
ダナンでは、ホテル投資や空港利用者数も増加しています。
ダナン航空統計:
https://en.baodanang.vn/2025-a-breakthrough-year-for-da-nang-s-aviation-3320382.html
需要と供給が同時に伸びている。
これが構造的成長のサインです。
ベトナム自動車市場は拡大局面にある
2025年市場規模は約60万台
2025年のベトナム新車販売は、VinFastやHyundaiを含めると約604,134台と報じられています。
出典:
https://vietnamnet.vn/en/vietnam-sees-fastest-car-sales-growth-in-southeast-asia-2487845.html
補足として、VAMA加盟社のみの販売は約37万台です。
https://vietnamnet.vn/en/vietnam-s-2025-car-sales-race-these-9-models-led-their-brands-2483168.html
つまり、「車が増えた気がする」のではなく、市場そのものが拡張しています。
電動車(EV・ハイブリッド)の伸び
電動車の販売も急増しています。
ここではEV単体ではなく、電動車全体として拡大していることが報じられています。
VinFastは国家戦略企業と言えるのか
VinFastとは何か —— ベトナム初のグローバルEVメーカー
ここで改めて、VinFastとは何かを整理しておきます。
VinFastは2017年に設立された、ベトナム初の本格的な自動車メーカーです。
親会社はベトナム最大のコングロマリット「Vingroup」。
当初はガソリン車からスタートしましたが、現在はEV(電気自動車)に全面転換し、
「ベトナム版テスラ」とも呼ばれる存在になっています。
2023年にはNASDAQに上場し、グローバル展開も進めています。
2025年国内販売175,099台
VinFastは2025年に国内で175,099台を納車したと公式に発表しています。
これは前年比で大幅な増加であり、
ベトナム国内市場でトップクラスの存在になっています。
単なるスタートアップではありません。
短期間で国内トップシェアに迫る企業へと成長しています。


国家EV戦略との整合
ベトナム政府は2030年までに都市部のタクシー・バスを電動化する目標を掲げています。
政策と企業戦略が一致している。
ここが重要なポイントです。
Xanh SMは「普及まで設計する」装置
Xanh SMとは何か —— ベトナム発のEV配車サービス
ここで突然出てきたXanh SMとは何かを整理しておきます。
Xanh SM(正式名称:Green and Smart Mobility)は、
VinFastの親会社Vingroupグループが展開する電気自動車(EV)専用の配車サービスです。
サービス開始は2022年。
わずか数年でベトナム主要都市へ展開し、急速に存在感を高めています。
市場シェアは拡大中(推計)
2025年Q2時点で、Xanh SMが約40%の市場シェアに達したとの調査があります。
出典:
https://b-company.jp/vietnam-ride-hailing-market-2025-competition-between-xanh-sm-grab-and-be/
※市場定義の違いがあるため、推計ベースの数字として扱っています。
なぜ自動車メーカーが配車をやるのか
通常の自動車メーカーは、車を作ってディーラーに卸します。
しかし、VinFastは違います。
車を作る。
自社で走らせる(Xanh SM)。
街で体験させる。
普及を加速させる。
Reuters報道(GSM関連):
https://www.reuters.com/business/autos-transportation/vinfast-linked-gsm-plans-hong-kong-ipo-up-3-billion-valuation-sources-say-2025-12-29/
これは単なる配車ビジネスではありません。
製造 × インフラ × 運用を統合する垂直統合モデルです。すごい!


これは国家の設計思想の違いかもしれない
ベトナムは明確な数値目標を掲げ、税制で誘導し、国産ブランドを後押ししています。
日本は市場に委ねる傾向が強い印象です。
どちらが正しいかではなく、スピードと一貫性が違うと思います。
後発の利を活かし、レガシーの少なさを強みに変える。
それが今のベトナムの戦い方であるという印象です。
僕がダナンで感じたこと
成長している国は、プロダクトだけでなく「普及まで設計している」。
VinFastは車を作るだけではない。
Xanh SMは配車をやるだけではない。
街に実装し、体験させ、当たり前にする。
これはプロダクト開発にも通じます。
作って終わりではなく、
使われ続ける仕組みまで設計すること。
ダナンの街は、それを国家規模でやっているように見えました。
3年ぶりの訪問はとても刺激にあふれていて、とても充実した7日間となりました。



