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体験設計(UX)事例|スリランカのサファリで実感した「期待値を超える体験」のつくり方

みなさん、こんにちは。Enlytの久保です。

「体験設計」や「UX」という言葉はよく使われますが、
それが 実際にどのように設計され、どう感情に作用するのか を、具体的な事例として説明できるケースは意外と多くありません。

今回は、2025年末にスリランカ旅行中に参加したサファリツアーを、
体験設計(UX)の実例として分解してみます。

このサファリは、バスツアーの“オプション”として案内されていたもので、
参加前の期待値は正直かなり低い状態でした。
ところが実際には、旅の中でも最も記憶に残る体験になりました。

なぜ、この体験がここまで印象に残ったのか。
そこには、UX設計として非常に示唆に富んだ構造がありました。

体験設計(UX)とは何か|機能ではなく「感情の流れ」を設計する

体験設計(UX)とは、単にUIを整えたり、便利な機能を足すことではありません。

  • どこで期待を生むか
  • どこで緊張や不安を入れるか
  • どこで安心や納得に変えるか

こうした 感情の流れそのものを設計すること が、UXの本質です。

スリランカのサファリ体験は、この感情の流れが非常に丁寧に設計されていました。

体験設計UX事例①|「乗り換え」で世界観を切り替える

サファリ体験は、いきなり動物を見るところから始まりません。

  • バスで集合地点まで移動
  • そこでJeepに乗り換える
  • Jeepで20分ほど荒れた道を走る

この 「バス → Jeep」への乗り換え が、UX設計上の大きなスイッチになっています。

Jeepに乗った瞬間、

  • 視界が一気に開く
  • 風や音が直接入ってくる
  • 揺れが身体に伝わる

と、環境が明確に変わります。

これはUXでいう オンボーディング設計 に近い構造です。
説明されなくても、「今から非日常が始まる」と身体で理解できる。

実際、サファリでオープン型車両が使われる理由については、
野生動物が車両を「個人」ではなく「一つの大きな存在」として認識しやすいこと、
そして窓などの物理的障壁がないことで没入感が高まることが指摘されています。
参考:Discover Africa

体験設計UX事例②|「揺れ」という摩擦をあえて残す

Jeepで走る道は舗装されておらず、かなり揺れます。
通常のUX設計では、こうした揺れや不安定さは排除対象になりがちです。

しかし、この体験では揺れが価値になっていました。

  • 身体が自然と緊張する
  • 景色が「背景」ではなく「出来事」になる
  • 「何かが起こりそう」という期待が高まる

UXにおいて重要なのは、
摩擦をゼロにすることではなく、摩擦をどう配置するか です。

このサファリでは、
「危険ではないが、完全に快適でもない」
という絶妙なラインが意図的に残されていました。

体験設計UX事例③|安全が設計されているからこそ成立する「近さ」

サファリのハイライトは、ゾウとの遭遇でした。
写真で見ても分かる通り、かなり近い距離まで来ます。

それでも恐怖が破綻しないのは、
この体験が 運任せではなく、設計された安全性の上に成り立っている からです。

スリランカでは、サファリ車両の運用について

  • 速度制限
  • 下車禁止
  • 動物優先
  • 車両・人数制限

といったルールが、公式ガイドラインとして明文化されています。
参考:Sri Lanka Tourism Development Authority

UX的に見ると、ここは
「自由度の高い体験ほど、裏側の制約設計が重要」
という典型的な事例です。

体験設計UX事例④|「距離が動く」ことで生まれる没入感

サファリと動物園の決定的な違いは、距離の設計です。

  • 動物園:人間が距離を固定(柵・ガラス)
  • サファリ:動物が距離を決める

つまり、サファリの距離は 動的 です。

調査でも、サファリでは動物自身が接近・離脱を選べるため、
人間側は動物の行動に合わせて距離を調整する設計が前提になっていることが示されています。
参考:African Safari Vehicle Etiquette

一方、動物園では安全性を最優先し、
距離と障壁を固定する設計が取られています。
参考:USDA Public Barrier Study

UXに置き換えると、

  • 静的UI(決められた操作だけ)
  • 動的UI(ユーザーや状況で変化する)

の違いに近い構造です。

なぜこのUX事例は「オプション」でも成立したのか

このサファリが強烈に記憶に残った理由は、
一発勝負ではなく、感情が段階的に設計されていたことにあります。

感情設計の流れ

  • 切り替え(バス→Jeep)
  • 没入(風・音・匂い・揺れ)
  • 緊張(物理的障壁の少なさ)
  • 遭遇(動物主導の距離変化)
  • 記憶化(五感体験は長期記憶に残りやすい)

観光体験においても、
オープンな環境ほど没入感と記憶定着が高いことは、研究でも示されています。
参考:ScienceDirect

ビジネスへの示唆|体験設計UXは「機能」ではなく「流れ」で決まる

この体験設計UX事例から得られる最大の学びは、

良い体験は、機能の集合ではなく、流れの設計で決まる

という点です。

  • どこで切り替えるか
  • どこで摩擦を残すか
  • どこで主導権を渡すか

これらを設計せずに、
機能やUIだけを足しても、体験は立ち上がりません。

まとめ|体験設計UXの良い事例は、身近な体験の中にもある

スリランカのサファリは、
非日常の観光体験であると同時に、
非常に完成度の高い体験設計(UX)の事例でした。

オプションのような脇役の体験でも、
設計次第でメインを超える価値を生み出せる。

プロダクトやサービスを考える立場として、
「何を作るか」よりも
「どう連れていくか」を、改めて考えさせられる体験でした。

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