インバウンドサミット2026参加レポート|インバウンドの勝負は「観光地」ではなく「設計」だった
みなさん、こんにちは。Enlytの久保です。
ひょんなことから、先日東京ビックサイトで開催された
インバウンドサミット2026に参加してきました。

観光業界、自治体、交通、商業施設、テクノロジー企業など、インバウンドに関わるさまざまなプレイヤーが集まり、日本の観光戦略について議論するイベントです。
会場では、
- 観光マーケティング
- 地方誘客
- データ活用
- AIレコメンド
など、非常に多くのテーマについて語られていました。
普段どっぷりインバウンドビジネスに関わっているわけではない
僕にとってはとても良い時間となりました。
その中で個人的に整理されたのは、
インバウンドビジネスは観光だけの話ではなく「サービス設計の話」だなぁ
ということでした。
今回は、サミットで印象に残ったポイントを、
帰って改めて調べたデータとともに整理してみたいと思います。
目次
世界では「旅行」が巨大産業になっている

まず前提として押さえておきたいのは、
旅行産業の巨大さです。
これにはびっくりしました。
世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)によると、
観光産業のGDP貢献は2025年に
11.7兆ドルに達すると予測されています。
これは世界GDPの約10%に相当します。
参考:
Global Travel & Tourism to Reach New Heights in 2025【https://wttc.org/news/global-travel-and-tourism-to-reach-new-heights-in-2025】
つまり旅行は
- レジャー産業
- 娯楽産業
というカテゴリーを越えて、世界最大級の産業になっています。
日本ではインバウンド、インバウンドと言っていますが、
世界中の人たちが日本に限らず旅行を積極的に行っているということですね。
日本のインバウンドは巨大な「輸出産業」
日本でもインバウンドは急速に回復しているようです。
観光庁によると、2024年の訪日外国人の旅行消費額は
8兆1,257億円 に達しました。
参照:国土交通省 官公庁 訪日外国人の消費動向 2024年
【https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001884192.pdf 】
この数字はGDP統計ではサービス輸出として扱われます。
つまりインバウンドは
- 自動車
- 半導体
などと同じ輸出産業となるようです。
実際、インバウンド消費は
- 半導体
- 鉄鋼
などを上回る規模になっていますので、とんでもないことですね。
しかし観光は都市に集中している

一方、日本のインバウンドには大きな構造があるようです。
それが都市集中です。
外国人宿泊者数を見ると
- 東京
- 大阪
- 京都
の三大都市圏に約70%が集中しています。
参考:訪日ラボ 【グラフでわかる】都道府県別インバウンド訪問者数・宿泊者数・消費額ランキング 消費単価が高い意外な県とは?
【https://honichi.com/news/2024/11/29/todofuken-ranking/ 】
さらに消費額では東京都だけで約40%を占めています。
この構造が
- オーバーツーリズム
- 地方格差
の原因にもなってるようです。
旅行は「個人が設計する時代」になった
インバウンド旅行のスタイルも大きく変化しているみたいです。
現在、訪日外国人の旅行の約85%はFIT(個人手配旅行)のようです。
ちなみに、僕はFITという言葉をこのサミット以前は知りませんでした。
参考:
旅行年報2025 訪日外国人の旅行動向
【https://www.jtb.or.jp/book/wp-content/uploads/sites/4/2025/10/nenpo2025_2_1.pdf】
つまり旅行者は
- 自分で調べ
- 自分で予約し
- 自分で行動する
自己設計型の旅行をしています。
実はこのスタイル、個人的にはすごく納得感がありました。
というのも、僕自身はこれまで海外に住んでいた期間が長く、
海外のサイトや英語での情報収集にそこまで抵抗がありませんでした。
そのこともあって、昔から旅行は 個人手配派 でした。
理由は単純で、
・自由に動ける
・自分で行きたい場所を選べる
・そして何より手配してもらうより値段が安い
航空券、ホテル、現地の移動などを全部自分で手配して、
旅行を自分で組み立てる。
当時は「節約のため」という理由が大きかったのですが、
今思うと、それはまさに FITの旅行スタイル だったのだと思います。
そして今、訪日外国人の旅行の大半が
このスタイルになっているというのは、かなり興味深い変化だと思いました。
それと同時に、この変化はとても重要だと思いました。
なぜなら、昔は旅行会社が旅程を設計していましたが、
今は旅行者自身が
・調べる
・予約する
・移動する
・体験を選ぶ
という形で旅行を作っているので、
その過程では
・Googleマップ
・予約サイト
・レビュー
・SNS
など、さまざまなデジタルサービスが使われます。
つまり旅行は単なる移動ではなく、
多くのサービスが組み合わさった「ユーザー体験」
になるので、インバウンドの方に知ってもらうには
沢山の手段をカバーしないといけないということになりますね。
欧米旅行者は2週間以上滞在する
欧米豪旅行者の平均滞在日数は14.1日です。
参考:
急成長中の2024年インバウンド市場 欧州からの訪日旅行を分析【https://japan-guide.co.jp/blog/analysis-of-european-tourists/】
僕も去年ヨーロッパにいきましたが、10日間くらい滞在しました。
せっかく10時間以上かけて日本から行くのですから、なるべく長く滞在したいという傾向は理解できます。
さらに消費額も高く約35万円を使います。
つまり欧米旅行者は長期滞在 × 高消費という非常に重要な市場ですね。
旅行者はGoogleマップで「その場の意思決定」をする
サミットで印象に残った話の一つが、
「Googleマップの評価が来訪判断に強く影響する」
という点でした。
確かに、自分自身も海外旅行に行くとかなりの頻度でGoogleマップを開きます。
そこで見るのは
- 評価
- レビュー数
- 写真
- 最新口コミ
つまり旅行者は現地でもデジタルを使って意思決定しています。
これはとても重要なお話ですよね。
インバウンド施策というと日本に来るまでの
- プロモーション
- SNS発信
のみに注目されがちですが、実際の競争は現地でも続いていて、そこでどう選ばれるかになるということです。
ここには
- 写真
- レビュー
- 多言語情報
などUX設計に関わります。
今の時代、これら全ては最低限やらないといけないことなのでしょうね。
AIが旅行先を決める時代
最近ではAIが旅行先を提案するケースも増えているようです。
調査では生成AIが提案した旅行先に54.6%の人が実際に訪問しています。
参考:
<調査リリース>AIの提案先に「旅行者」は行ったのか? │旅行計画でAIを使った630人の行動実態調査【宿研】【https://syncad.jp/news/96555/】
つまりこれからは
- Google検索
- ChatGPT
- AIレコメンド
- 旅行アプリ内のAIチャット
が旅行の入口になります。
観光地はAIに理解される情報構造も重要になってきますね。
福井県のFTASが面白かった
今回のサミットで特に面白かった事例が
福井県のFTAS【https://www.fuku-e.com/FTAS】です。
これは観光データを分析する観光データプラットフォームです。
特徴は
- オープンデータ
- オープンソース
で公開されていることです。
つまり
- ホテル
- 飲食店
- 観光施設
がデータを活用できます。
例えば
福井県立恐竜博物館では60日先までの予約状況が公開されており
- スタッフ配置
- 仕入れ
- 売上予測
などを最適化しているようです。
つまり観光データが地域のインフラになっています。
これは非常に面白い取り組みだと思いました。
Enlytとしてこれから関われそうなこと
今回のサミットに参加して、よりいっそうEnlytとして何か関われる余地を探していきたいと感じました。
インバウンドは単なる観光プロモーションの話ではなく、体験設計の話ですよね。
旅行者は
・SNSで情報を見て
・Googleマップで場所を選び
・レビューを確認し
・予約サイトで予約し
・AIに旅行先を提案される
という形で旅行を設計します。
つまりインバウンドは、複数のデジタルサービスが組み合わさった体験となっています。
ここには
・UX設計
・データ活用
・AIレコメンド
・アプリ
・プラットフォーム
といったテクノロジーが関わります。
今回紹介されていた福井県のFTASの事例を見ても、観光の世界でもデータをどう活用するかが非常に重要になってきていると感じました。
観光データを
・どう集めるのか
・どう可視化するのか
・どう活用できる形にするのか
そしてそれを実際の体験にどうつなげるのかという設計です。
このあたりは、僕たちが企業様をご支援している
・アプリ開発
・Webサービス開発
・UIUX設計
といった領域ともかなり重なります。
観光は文化ですが、それを世界に届けるためにはテクノロジーの設計の重要性と、インバウンドとテクノロジーの交差点には、まだまだ多くの可能性があると改めて強く感じました。
今後Enlytとしても、文化 × テクノロジーという視点で、この領域にも関わっていけたら面白いなと思っています。
まとめ
それでは最後に総括です。
今回のサミットを通して感じたのは
インバウンドは観光ではなく文化産業だということです。
そして文化そのものより重要なのは設計です。
- どんな体験を作るのか
- どんな導線で届けるのか
- AIにどう理解されるのか
インバウンドの競争は観光地の競争ではなく
設計の競争なのだと思います。
インバウンドは今
- 世界最大級の産業
- 日本の重要な輸出
- 地方経済の可能性
になっています。
そしてその中心には
- UX
- データ
- AI
があります。
観光は文化ですが、それを産業にするにはテクノロジーの設計が必要不可欠です。
インバウンドは文化 × テクノロジーの領域なのだと思います。
ぜひ今後一緒に盛り上げていけたらと思います。




