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オフショア開発費用の完全ガイド2026|ベトナム・フィリピン・インドの単価比較と発注のコツ

「見積もりの単価は相場通りだったはずなのに、蓋を開けたら追加費用がかさんでいた」
オフショア開発を検討・経験した企業から、こうした声を聞くことは少なくありません。

原因の多くは、単価そのものではなく、発注前に詰めきれなかった要件や、期待値が揃わないまま進んでしまったプロジェクト進行にあります。つまり、オフショア開発の費用は「人月単価 × 人数」だけで決まるのではなく、上流の整理がどこまでできているかによって、最終的な着地点が大きく変わるのです。

本記事では、最新の業界データをもとに2026年時点でのオフショア開発費用の相場を整理したうえで、費用を「見積もり通りに収める」ために発注前に押さえておくべき視点を、日本人メンバーとベトナム人メンバーを含む多国籍・多拠点体制でプロジェクトを進めてきたEnlytの知見を交えて解説します。

1. オフショア開発とは?費用相場を理解する前に押さえておきたい基礎知識

オフショア開発とは、システムやアプリケーションの開発業務を、ベトナムやフィリピン、インドといった海外の企業やエンジニアに委託する開発手法です。国内のIT人材不足と人件費高騰が続く中、開発リソースを海外に求める企業が年々増加しています。

業界データによれば、オフショア開発を検討する目的として最も多いのは「開発リソースの確保」であり、「コスト削減」を上回っています。かつては「安いから頼む」という発想が中心でしたが、現在は国内でエンジニアを採用できない企業が、事業を止めないための選択肢としてオフショア開発を活用する構図に変わりつつあります。

つまり、費用相場を見る際も「単純に安いかどうか」ではなく、「その費用でどれだけのリソースと品質、そして進行の再現性を確保できるか」という視点が欠かせません。

2. オフショア開発の費用相場一覧

オフショア開発の費用は「人月単価(エンジニア1人を1ヶ月稼働させた場合の費用)」を基準に計算されるのが一般的です。職種によって単価は大きく異なり、目安は以下の通りです。

  • プログラマー:月20万円台後半〜60万円程度
  • シニアエンジニア:月40万円前後〜70万円台
  • ブリッジSE(日本語での橋渡し役):月40万円前後〜80万円台
  • プロジェクトマネージャー(PM):月57万円台〜85万円程度

※上記は次章で紹介する国別平均単価の最小〜最大レンジです。案件やベンダーによって幅があります。

一般的な業界情報では、国内開発の人月単価はおおむね60万〜120万円程度、なかでも80万〜120万円が一つの目安とされています(本記事の主データである「オフショア開発白書2025年版」には国内単価の記載はなく、この一文のみ別ソースに基づく一般的な相場情報です)。これを踏まえると、オフショア開発は依然として一定のコストメリットがある一方、国によって単価水準や増減の傾向が大きく異なる点には注意が必要です。実際の業界調査では、31〜50%のコスト削減を実現している企業が全体の半数以上を占めており、適切な発注先を選べば大きなコストメリットを得られることが分かっています。

一方で、円安の継続や現地の人件費上昇によって「オフショア=一律に安い」という構図は崩れつつあり、国ごとの費用動向を正しく把握することが、失敗しない発注の第一歩になります。

3. 【国別】オフショア開発費用の相場比較

発注先の国別シェアを見ると、ベトナムが全体の4割超を占めて依然トップ、次いで中国、インドと続きます。ここでは主要国の費用相場と特徴を解説します。

ベトナム:費用相場と特徴

プログラマーで月40万円前後、シニアエンジニアで月50万円前後、ブリッジSEで月59万円前後が目安です。前年からの変動幅が小さく、緩やかな上昇基調にとどまっているのが特徴で、コストと品質のバランスが取れた「安定型」の発注先といえます。親日的な国民性や地理的近さもあり、日本企業からの人気は依然として高い状況です。単価の安さ以上に、日本語対応やブリッジ人材の質が現場の進行品質を左右するという点は、多国籍・多拠点体制でプロジェクトを進める上で共通して意識すべきポイントです。

フィリピン:費用相場と特徴

プログラマーで月37万円前後、PMで月63万円前後が目安ですが、直近では全職種で二桁の下落率を記録しており、コスト面での競争力はむしろ高まっています。英語対応力の高さが強みですが、日本語対応やマネジメント層の単価下落は、人材の厚みという面で注意が必要なポイントでもあります。

インド:費用相場と特徴

プログラマーで月37万円前後まで下落しており、全職種で大幅な単価下落が続いています。豊富な人材プールを背景に価格競争力は高い一方、単価下落が品質や体制の安定性にどう影響するかは見極めが必要です。

中国:費用相場と特徴

プログラマーで月58万円前後、PMで月85万円前後と、他国と一線を画す高騰が続いています。国内人件費の上昇や先端技術領域へのシフトが背景にあり、もはや「安いから」ではなく「高度な技術力を求めて」選ばれる委託先へと位置づけが変化しています。

その他(ミャンマー・バングラデシュなど)

ミャンマーやバングラデシュは職種間の単価のばらつきが大きく、特にブリッジSEやPM人材の確保に不安定さが見られます。単価だけを見れば魅力的でも、体制の継続性というリスクを踏まえた検討が必要です。

ポイント:ベトナム・中国は「安定・高品質型」、フィリピン・インドは「コスト優位型」、ミャンマー・バングラデシュは「不安定・二極化型」と大きく傾向が分かれています。自社の案件特性(品質重視か、コスト重視か)に応じて発注先を組み合わせる視点が重要です。

4. 契約形態によって変わる費用の仕組み

オフショア開発の費用は、契約形態によっても大きく変わります。主な契約形態は次の3つです。

契約形態適した案件例特徴
請負契約要件が明確、小規模、予算制約が厳しい案件成果物と責任範囲が明確な分、仕様変更に弱くコストが割高になりやすい
ラボ契約継続性がある、自社プロダクト、仕様が曖昧な案件専任チームを確保でき、柔軟な対応が可能。中長期の開発体制に適する
SES契約特定技術領域の補完、短期的な人材確保即戦力人材をスポットで確保できるが、マネジメントは自社側の負担

業界調査では、ラボ契約が全体の45%と最多を占め、次いで請負契約32%、SES契約20%という構成になっています。特にSES契約は前年から大きく比率を伸ばしており、AI・クラウドなど専門性の高い領域を中心に、必要な人材をピンポイントで確保したいというニーズが強まっていることが読み取れます。

初めてオフショア開発を導入する企業は、まず要件が明確な請負契約でスモールスタートし、継続的な開発が見込める段階でラボ契約へ移行するという段階的な進め方が主流になりつつあります。ただし、どの契約形態を選ぶにしても、発注前の要件整理の粒度が浅いままだと、契約形態を変えても同じ問題が繰り返されます(この点はシステム開発の要件整理|B2Cで成果を出す3つの視点と進め方でも詳しく扱っています)。

5. 2026年、オフショア開発費用に影響する3つのトレンド

① 円安・為替変動によるコストへの影響

円安基調が続く中、海外への発注コストは為替の影響を直接受けます。特に人件費が上昇している国では、円換算での発注コストが二重に上がるリスクがあるため、契約通貨や為替ヘッジの考え方を発注前に確認しておくことが重要です。

② 現地エンジニアの人件費高騰と二極化

中国のように高度人材を中心に単価が大きく上昇する国がある一方で、インドやフィリピンのように価格競争が激化し単価が下落する国もあり、「高品質・高単価」と「低価格・競争型」への二極化が進んでいます。単純な国別の相場感だけでなく、最新の単価動向を継続的にチェックする必要があります。

③ AI活用によるオフショア開発の効率化

オフショア開発白書2025年版でも、生成AIや自然言語処理領域の案件が定着しつつあり、オフショア開発企業側もAI開発への対応体制を強化していることが示されています。加えて、開発工程自体にAIを活用することで工数削減・スピード向上につながる、という動きは業界全般で語られている一般的な傾向です(この点は白書の直接のデータではなく、業界動向としての補足です)。AI駆動開発が進むほど、逆に「何を作るべきか」を最初にどれだけ具体化できているかが、費用対効果を分ける要因になっていきます。

6. 費用だけで選ぶと失敗する本当の理由

「安いから」という理由だけでオフショア開発会社を選ぶと、想定外の追加コストやトラブルにつながるケースが少なくありません。実際に発注企業が感じている課題として最も多く挙げられているのは「コミュニケーション力」、次いで「品質管理」です。

ただし、これを「コミュニケーションが大事」で片付けてしまうと、対策にはなりません。Enlytの現場感覚では、費用が想定を超える案件には、共通してこうした構造があります。

  • 期待値が揃っていない:発注側が思う「完成」と、開発側が思う「完成」の粒度がズレている
  • 曖昧さが残ったまま着手している:仕様書はあるが、判断基準や優先順位が明文化されていない
  • 認識齟齬が後工程で発覚する:初期のヒアリングが浅く、途中で「そんなはずでは」という手戻りが起きる
  • リスクと問題が混同されている:まだ起きていない懸念(リスク)と、すでに起きた不具合(問題)が同じ扱いで処理され、対応の優先順位を誤る

特に多国籍・多拠点でのプロジェクトでは、言葉のニュアンス差や「なんとなく分かっているはず」という前提が、認識齟齬を生みやすくなります。実際にデザイン会社・開発会社・プラットフォーム側という3社座組で認識齟齬が発生した事例は、デザイン・開発・プラットフォームの3社座組で、認識齟齬と手戻りを防ぐ方法でも紹介しています。請負契約では特に仕様変更への対応が難しく、こうしたズレがそのまま追加費用に直結しやすい点にも注意が必要です。

7. 費用を「読める状態」にする進行設計

費用を見積もり通りに収めるために必要なのは、精神論としての「密なコミュニケーション」ではなく、仕組みとしての進行設計です。Enlytが受注前整理や進行管理で重視しているのは、次のような観点です。

  • 上流整理:要件定義の前段階で、目的・優先順位・判断基準をどこまで具体化できているかを確認する
  • 見える化:決定事項と検討中の事項を混在させず、誰が見ても進捗と論点が分かる状態を作る
  • 期待値コントロール:クライアント・デザイナー・開発チームそれぞれと、何を・どの粒度で・いつまでに揃えるかを明文化する
  • 暫定対応と恒久対応の切り分け:トラブル発生時に「今どう収めるか」だけでなく、「次から同じ問題を起こさないためにどう仕組み化するか」まで対応する
  • 多様性の中での標準化:文化差・拠点差がある前提で、どこを標準化し、どこを個別対応にするかをあらかじめ決めておく

これらは、EnlytのPMOが週次ヒアリング・リスク抽出・横展開・エスカレーションといった実務として日常的に回している運用そのものです。トラブル対応を仕組みに落とし込む考え方については、【2026年版】暫定対応と恒久対応の違いとは?システム障害時に経営者・DX担当者が知っておくべき判断基準、標準化と現場の裁量のバランスについては開発プロセス標準化が「現場の自由を奪う」と誤解される本当の理由で詳しく解説しています。

費用を「読める状態」にするということは、単価交渉を頑張ることではなく、発注前にこれらの整理をどこまで済ませておけるか、という話に他なりません。

8. 費用対効果を最大化するオフショア開発会社の選び方

企業の選定基準としては、2025年に「日本語のレベル(コミュニケーション力)」が最も重視される項目となり、それまで上位だった「日本企業との取引実績」「開発実績」を上回りました。単価の安さよりも、円滑なコミュニケーションが取れるかどうかが、プロジェクトの成否を左右する最大の要因になっています。

選定プロセスとしては、以下のようなステップが一般的です。

  1. 候補案件の具体化:予算・要件・スケジュールを整理する
  2. 候補ベンダの洗い出し・一次選定:4〜7社程度に絞り込む
  3. ヒアリング・情報提供依頼・二次選定:2〜3社まで絞り込む
  4. 提案・見積り:最終1社を決定する

近年は比較検討する企業数が増加傾向にあり、10社以上を比較したうえで発注先を決める企業が最も多くなっています。それだけ、費用だけでなく総合力で判断する動きが強まっているということです。選定時にありがちな「なんとなく良さそう」という判断ではなく、どこまで自社の要件を構造化して伝えられるか、そしてそれを正しく受け止めて進行設計できるパートナーかどうかを見極める視点が欠かせません。

9. 【業種別】to C事業におけるオフショア開発費用の実例イメージ

to C向けサービスを展開する企業がオフショア開発を活用する場合、案件内容によって費用感は大きく異なります。

  • ECサイト・会員制サービス開発:業務系Webシステム開発として、ラボ契約で継続的な機能追加・改善を行うケースが多く、中規模案件(年間1,000万〜2,000万円程度)が主流の予算帯です。
  • スマホアプリ開発:クロスプラットフォーム技術(Flutter・React Native)を用いた開発が一般的で、Web版との同時開発によりコストを抑えるケースが増えています。
  • SaaS型サービス開発:アジャイル開発との親和性が高く、ラボ契約による継続的な保守・改善を前提とした費用設計が一般的です。

いずれのケースでも、単発の外注ではなく「継続的な開発パートナー」としてオフショアチームを位置づけることで、コストだけでなく開発スピードや品質の面でも効果を得やすくなっています。

10. まとめ|自社に最適なオフショア開発の費用感を見極めるには

2026年のオフショア開発は、「安さ」だけで選ぶ時代から、「品質」「対応力」「継続性」を含めた総合的な費用対効果で選ぶ時代へと移行しています。

  • 国によって単価水準・変動傾向は大きく異なり、二極化が進んでいる
  • 契約形態(請負・ラボ・SES)によって費用構造もリスクも変わる
  • 円安・人件費高騰・AI活用など、2026年特有のトレンドを踏まえた予算設計が必要
  • 費用のブレを防ぐ鍵は単価交渉ではなく、期待値・曖昧さ・認識齟齬をどれだけ発注前に潰せるかという進行設計にある

費用を読める状態にしてから発注する。そのためには、相場感を持ったうえで、自社の要件を構造化し、それを正しく受け止めて進行を設計できるパートナーを選ぶことが欠かせません。

Enlytは、受注前の要件整理から、UI/UX起点の体験設計、見える化された進行管理までをワンチームで支援し、日本人メンバーとベトナム人メンバーを含む多拠点体制でも進行品質を落とさない仕組みを整えています。オフショア開発の費用は、要件をお伺いしたうえで、最適な体制とともに具体的に算出いたします。

「自社の場合、どのくらいの費用感になるのか知りたい」という方は、費用の早見表や会社選びのチェックリストといった資料のダウンロード、または無料相談をご活用ください。課題の整理段階からご相談いただけます。

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