新たなビジョンを切り開く:僕たちの会社のリブランディングへの旅
皆さん、こんにちは。Enlyt CEOの久保です。
今回のブログ記事では、僕たちの会社が最近経験した重要な変化、すなわち「リブランディング」についてご紹介したいと思います。このプロジェクトは我々のビジョンと方向性を再定義するものであり、一連の挑戦と学びの過程でした。そして、この記事を通じて、その旅の一部をみなさんと共有したいと思います。リブランディングの背景からプロセス、そして新たなアイデンティティの紹介まで、この旅の全てをカバーします。さらに、この一大変革が我々の会社にどのような影響を及ぼしたのか、そしてこれからどのような戦略を立てていくのかについても触れます。我々の新しいブランドについて深く理解し、それがどのように我々のビジョンとミッションを反映しているのかを感じていただければ幸いです。
目次
リブランディングの背景
僕が代表取締役社長(CEO)に就任したのが2022年の11月です。そのタイミングでEnlytのあり方、つまりソフトウェア開発会社の根源的なところに興味を持つようになりました。開発とは何だろう。ソフトウェア開発会社はどうあるべきか。他社のビジネスを開発を通じてお手伝いすること、我々自身がサービスを開発してビジネスをしていくこととはどういうことなのか、といったことです。
また、最近の市場動向は、僕たちが直面している現実を深く理解させてくれました。テクノロジーの進化と競合他社の創新的な戦略により、僕たちの業界は急速に変化しています。顧客のニーズと期待は以前とは大きく異なり、僕たちはそれに対応するための新たな戦略を模索する必要がありました。僕たちは、一貫して高品質なソフトウェア開発と寄り添ったカスタマーサービスで多くのクライアントとワンチームを実現し、価値あるサービスの提供をお手伝いしてきました。しかし、僕たちの顧客基盤が拡大し、その多様性が増すにつれて、単にプロダクトやサービスの品質だけではなく、Enlyt自身として伝えるメッセージや価値観も重要であると感じるようになってきました。そこで、僕たちのアイデンティティを改めて明確化し、ビジョンと価値を十分に反映していくためのリブランディングを決定しました。
そんな中、以前一緒にお仕事をしたことのあるRight Design CEOの小川さんと割と頻繁に情報交換をしていて、彼自身のこれまでの実績もさることながら、彼のブランディングに対する考えや、プロダクトへの向き合い方を聞いていると、何事も丁寧かつ真摯に向き合う姿勢を感じました。そこは僕もいつも大切にしていることだったので、彼の会社だったらきっと素晴らしいコラボレーションができると確信し、Right Designさんにリブランディングを依頼することにしました。
リブランディングのプロセス
リブランディングは、大きく下記4つのフェーズに分かれていました。
- 企業価値の整理・再定義
- MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)策定
- CI(コーポレートアイデンティティ)製作
- CIを各媒体への適応
プロセスを通して、会社・社員の想いから、どうやって言葉・シンボル・デザインが形作られていったのか詳しくご紹介します。
企業価値の整理・再定義
ヒアリング前の事前課題
プロジェクトのキックオフと同時に与えられた宿題は、下記の質問に対して自分の考えをまとめておくことでした。
・なぜEnlytに入社しようと思ったのか、何を魅力と感じたのか
・今のEnlytのいいところはどこか
・各人が考える「イケてる」とは何か
※「私たちはイケてるサービスしか作らない。」がリブランディング前のキャッチコピー。
自分のこと・Enlytのことに対する考えを整理した上で、この後に行われるヒアリングで自分たちの考えていることを吸い上げてもらいます。
全社員へのヒアリング
Right Designさんが最初に取り掛かったのは、全社員へのヒアリングを中心とした現状の把握です。
・当時あったものに対して各社員が持っていた考え
・各社員が会社に対して抱いていた想い
をRight Designさんが聞き、言葉から見える共通項や、全員が一貫して持っている考えを吸い上げて、新しいブランドになる基礎を作り上げる過程です。
ここでは、Right Designさんにより社員1人1人に対して1時間、考えていること・会社に対して感じていることなどの洗い出しが行われました。
上記、事前課題で挙げた質問内容に加えて下記のような質問もありました。
・今後Enlytはどんなチームになっていったら面白そうか
・各社員の理想とする生き方はどんなものか
・Enlytの課題、改善点などはあるか
これらをカジュアルな会話の中で忌憚なくどんどん引き出してもらい、Enlytで働いている全員の人となりや、それぞれから見たEnlyt像を把握してもらいました。
ヒアリング内容の共有
ヒアリングを行った翌週には、聞いた内容をベースに
・どのような共通項が見えてくるか
・Enlytを表現するキーワードとしてどのようなものが見えてくるか
・Enlytの展開可能性として、どんな領域が見えてくるか
などをまとめたものを共有する会が実施されました。他のメンバーがEnlytに対して持っている感情や想いを知ることで、Enlytの世界観や空気感、大事にしている考えの共通認識を持つことが出来ました。
ここで共通項として炙り出されたものが次のステップ以降で考えることの土台になっていきます。
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)策定
それぞれの意味は下記のようになっています。
・Vision:企業としてどんな世界を目指すか、存在意義
・Mission:具体的に何を成すか
・Value:日々の価値観、行動指針
+
・Slogan:社のマインドセット
このような会社を体現する言葉を作ることで、チームの結束力をより強くするために機能し、今後入ってくるメンバーの採用や評価基準になります。また、CI(コーポレートアイデンティティ)製作のステップでロゴやトンマナに落とす時のコンセプトになります。
ここでは、MVVを策定する為のワークショップにEnlyt社員全員が参加し、
・Enlytが価値提供をする目的は何か
・世の中のどんな人を幸せにしたいか
・世の中にあったらいいと思うサービス
などについて意見を出し合い、Enlyt社員が大事にしている価値観を言葉化していきました。
Miroを使用して、各テーマに対する自分の意見を書いて貼っていき、ワークショップ内では、自分が書いた内容を口頭で簡単に補足し、他のメンバーへ伝えるといったブレインストーミングの形式です。
このワークをしていた期間に、丁度SupremeTech(Enlytのベトナム開発拠点であり提携会社)があるベトナムのダナンへの出張があったため、メンバー同士で一緒に時間を過ごす中で感じた大事な価値観や、変わった価値観などもワークの中に盛り込まれ、MVVを策定する上で重要なコンテンツになりました。
ワークショップ後に仮のものとして落とし込んだミッションとビジョンがこちら↑。
全員から出てきたものをグルーピング・言葉化して、Enlyt社員全員がイメージを揃えるためのもので、ここからコピーライトを洗練させていく段階です。
・Mission:今までキャッチコピーとして使っていた文章の「イケてる」をより個人の人生や働き方に向けて作ったもの。
・Vision:Missionを達成する為に、「0→1」「ポジティブ」という言葉を使用してEnlytが提供するサービスで楽しさが生まれることを表現したもの。
この仮案として出して頂いた2つに対してEnlyt側が感じたフィードバックを行い、それを基に初稿に落とし込みます。
仮案をベースにフィードバックとディスカッションを行い、初稿として頂いたのは「フェア」という概念を軸にした3案でした。
下記のような理由から、フェアと言う言葉にEnlytらしさが出ているとのこと。
「立場の違い(発注/受託、上司/部下)、拠点の違い(社員の拠点やSTなど)に対して、下手にですぎて本質的な意見が言えなくなったり、逆に上から目線で相手から学ぶことをしなかったり、ということをせずに、目線を合わせて、ワンチームで働いている。
またそう言ったことに積極的に取り組んでいる。
そのようなスタンスや環境によって、1人1人が主体性をつくり、良いアウトプットにつながり、イケてる人生につながる。」
ここから更にディスカッションを行った後のEnlyt側のフィードバックが下記となります。
・「フェア」が意味している内容(立場や拠点の違いを問わず、対等でお互い主体的につくり上げていく。それが良いものづくりであり、良いライフスタイルにつながるような)については相違ない。
・ただ「フェア」という単語自体のなんとなくのしっくりこなさがある。(自分達が使うには少しお高い言葉な感じがする)
・少し受動的な感じがする。動きや能動的な感じ、言葉にエネルギーが欲しい。
・結果的にフェアになることを目指しているが、その前に個人が主体的で自分ごと化できているかどうか、が重要。
・フェアな世界を作りたいわけではないかもしれない。
初案に対して出たフィードバックを取り入れて、2度目に頂いた案はMissionとVisionだけではなく、その背後にある「大切にしているスタンス」という考え方を基に作ったスローガン+ステートメントという形で認識を揃えた上でMissionとVisionを考えるというものでした。
・自分の人生を楽しむこと
・自分を信じること
・ポジティブな気持ちがよりよいサービスへつながるということ
・主体性や積極性がよりよいサービスにつながるということ
といった、コンセプトの異なる4つのスローガンを用意していただき、それぞれに付随するMissionとVisionの提案を頂きました。
自分を信じることにコンセプトは近く、そこから更に調整を加えて
「自分の意志で決定する・自分ごと化する」
という言葉が最終的にスローガン+ステートメントとして確定。
ここからは、まとまってきたものをベースに弊社会長ホアンと1回2時間以上にも及ぶミーティングを数回繰り返し、自分たちの在り方を考えに考え抜きました。
そこからでてきた思考、思い、志しなどをRight Designさんにキレイに調整してもらって最終的な形に仕上がりました。
CI(コーポレートアイデンティティ)製作
MVVの最終調整に入った段階で、CI(コーポレートアイデンティティ)製作着手が始まりました。
Mission/Vision(およびスローガン)を前提とした会社ロゴにデザインをリニューアルする過程であり、
・誰でもロゴに込められた背景を語れる
・社外に向けてもEnlytの強みを効果的に表現出来る
ようにする為に重要となるものです。
この回の打ち合わせでは、Mission・Vision・スローガンからコンセプトを反映させたロゴアイデアを5つ、また、それぞれのデザインとなった背景を説明頂きました。
方向性を決めるのと同時に、Enlyt側からフィードバックを行い、ここから2〜3週かけてブラッシュアップを重ねて最終的なロゴデザインを決定していきます。
2回目の打ち合わせでは、前回行われたフィードバックを基に再度複数案の提案が行われました。各社員に
・Mission・Vision・スローガンのコンセプトが反映されている
・ビジュアルとしても気に入っている・デザインにロゴが入った時のイメージが出来る
・自分達が社内外への説明を出来る
といったような基準で考えた時にどれが最適なロゴかのヒアリングがされました。
ロゴに込められた意味・ビジュアルに会社全体で納得した上で使っていく為です。
ここで多数の票を得たのは、写真上の画像で、シンプルかつスマートな印象のあるもので、
込められた意味としては、Enlytの”l”を壁と見立てて、前後の”n”と”y”を繋ぐことで壁を超えていく、というもの。
ここで、ロゴの軸となるデザインの方針が概ね決まりました。
上記が最初に決まった、私たちのロゴデザインの方向性です。
ここからは、この原型を基に、自分達がそのデザインと背景に込められた意味を理解し、実際に使っていく姿を想像をしていきます。
その中で出てきた修正案を基に、自分達にピッタリはまるものにチューニングをしていくような感じです。
このプロセスを踏んで出てきたのが、「本当にこのロゴは自分達のスローガンを反映させたものになっているのか?」ということでした。
再度、社内でスローガンの内容の認識合わせをした上で、スマイルマークとネオンカラーを基調としたロゴデザイン案の使用へと転換を行いました。
・円と星のコンセプト:日本とベトナムを繋ぐ(それぞれの国旗のデザインにある●と★)
・ポジティブなイメージで、一緒に働いたら楽しそうに振り切るトーンを表現
・挑戦や苦難を楽しむ、超えていくというマインドセット
がロゴで表現されており、
スマートでIT企業らしさのあるデザインよりも、より能動的で楽しさのあるデザインにEnlytらしさがあります。
ここで、改めて方向性が決まり、ここから
・フォントの選定
・細さや太さ、字間の調整
・色の選定
・シンボルとなっているスマイルマークの使い方
などを議論・調整し、最終的なロゴの完成へと繋がっていきました。
最後の最後まで「もっと流れるような感じにしてほしい!」「なんか一体感がない」と言ったとんでもなく抽象的な僕のわがままの連発にも辛抱強く応えてくれたRight Designの皆さんには本当に感謝です。
CIを各媒体への適応
ロゴやカラーが決まったところで、最終段階は、それをEnlytが持つインターフェースに適用させていくことです。
・WEBサイト(コーポレートサイト)
・名刺
・会社紹介資料
・ZOOMの背景画像
などなど、今までのロゴとそれを基調にしたデザインとなっていたものの変更となります。
コーポレートサイトのリニューアルを最優先で行っていきました。
下記のような流れです。
- 現在のコーポレートサイトのページ洗い出し、情報整理をサイトマップとして整理
- 必要・不必要な情報のディスカッションを行い、リニューアル後のコーポレートサイトのサイトマップを作成
- 洗い出されたページを基に、どのページにどのくらいの工数がかかるのかを算出
- TOPページの作成
- コンポーネント作成(ヘッダー・フッター・フォント・色・アイコン・表現方法)
- 下層ページのデザイン作成開始
- レビューと修正
- コーディング
ここではEnlytのデザイナーチームも参加し、サイトマップ/情報整理・ディスカッション・UIの作成・コーディングを行っていきました。
デザインの流れとしては、
- TOPページとコンポーネントはRight Designさんのリードデザイナーの方に作成頂き、トンマナの基盤作り
- 上記のトンマナと統一感を出した上で、Enlytデザイナーが各ページのデザインを作成
- 作成したページに対してRight Designリードデザイナーの方がレビュー
- レビューを反映して修正
といったような感じで、同じようにコーディングに関しても作成後のレビューを挟みつつ実施していきました。
デザインに約1ヶ月半と、コーディングに約1ヶ月半をかけてコーポレートサイトが完成。
会社紹介資料やその他印刷物に関しても、Right DesignさんとEnlytで担当を割り振りレビューがされつつデザインが形成されていきました。
いかがでしたでしょうか?
以上が今回のブランディングのプロセスの紹介となります。
リブランディングの成果物
約半年のプロセスを経てリニューアルされたEnlytをご覧ください。
スローガン・Mission・Vision・Valueといったように、会社の持つ大切にしたい大きな概念からPrinciples(行動指針)という個人単位で意識・行動していく小さい概念に落とし込まれています。
最終的なロゴデザインとブランドカラーはこちら。
また、ロゴのスマイルマークから派生したキャラクターも各種デザインに入れ込むことで、Enlytの挑戦を楽しみに変えるポジティブさが表現されています。
CIを反映させた各媒体です。
WEBサイト、名刺はもちろん、社員が常にスローガンの意識を持てるようにステッカーやコインケースとして常に持ち歩ける・目に入るものもデザイン頂きました。
今後の展望
リブランディングは、僕たちがこれから進んでいく道のりを示す新たな地図と言えます。これは新たな始まりであり、次のステップへと進むための一歩なのです。
リブランディングがもたらした新たなブランドアイデンティティを通じて、僕たちはより強く、より独自のビジョンを伝えることが出来るようになりました。新たなイメージと一緒に、我々は顧客との新たなコミュニケーション戦略を展開していきます。これには、新ブランドの価値を強調するマーケティングキャンペーンの実施や、ウェブサイトとソーシャルメディアプラットフォーム上でのブランドの一貫性を維持することが含まれます。さらに、これによって生まれたエネルギーと動力を活用して、新たな開発領域の開拓や自社サービスの改善にも注力します。これからも僕たちは、会社の価値を高め、顧客の信頼を深めるために、継続的に改善と進化を追求します。
僕たちの目標は、まず第一に、僕たち自分自身の人間性を磨き、日々魅力的な自己を発見することを大切にすることを心がけます。この探求の過程で成長し、真の幸福を追求することが出来ると信じていて、自身の変革が正しい道へと導くと信じています。そして第二に、僕たちは社会にポジティブなエネルギーを広めることに注力します。Enlytは、ポジティブな人々が集まり、1人1人が魅力的な人間を追求することで、会社全体の雰囲気を向上させることを信じています。
なんやかんや言って、プロダクトの根幹を担うのは人間です。人間が魅力的になればなるほど良いプロダクトを作れる。そう信じています。このアプローチが、僕たちに人々に喜ばれるサービスを提供する力を与えます。そして喜びと満足をもたらすサービスを通じて、人々の心を動かし、価値を提供することが出来ると心から信じています。そうやって僕たちは少しでも日本経済の活性化に貢献することを目指します。
まとめ
この記事を通じて、僕たちのリブランディングのプロセスとその影響について深く掘り下げることができました。市場と顧客のニーズの変化に対応するため、僕たちのブランドアイデンティティを再定義し、新たなビジョンとミッションを体現するように努めました。僕たちの新しいブランドアイデンティティは、これまでの歴史と共にこれからの野望をも反映しています。そして、それは我々が今後、どのような道を歩んでいくのか、どのような価値を提供していくのかを示しています。新たな旅路は始まったばかりで、前途多難なことは確かです。しかし、新たなブランドイメージを持つことで、僕たちのビジョンと価値がより明確になり、それにより市場での競争力を高めることができます。僕たちの新しいアイデンティティへの理解を深めていただくことで、一緒にこの旅を進めていければと思います。引き続き、僕たちの新たな道のりにご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。そして、僕たちの成長と進化を見守っていただけることを心から願っています。