
動画コンテンツの次なる潮流:クリエイターは「番組の主」となり、企業は「メディア化」する
近年、「番組」の意味が大きく変わってきています。
かつては「YouTubeやTwitchに投稿する動画=自分の番組」という考えが一般的でした。しかし現在では、その構図に疑問を持つクリエイターが増えています。
「自分の番組を持っているのではなく、プラットフォームの中で枠を借りているに過ぎないのでは?」といった違和感から、クリエイターたちは自ら運営できる場所をつくり始めました。
つまり「番組」とは、単なる動画コンテンツから、配信プラットフォームまで含めたメディア運営全体を指すように、変化しているのです。
本記事では、海外クリエイターの事例をもとに、番組の役割やクリエイター・企業が求められる対応について解説します。また、動画コンテンツの新しい潮流に対応するために、Enlytが提供する動画パッケージもあわせて紹介するので、ぜひ最後までお読みください。
目次
従来の動画配信の構図|借り物のメディア
プラットフォームに依存した配信モデル
これまで、YouTubeやTwitchに投稿する動画は、自分のテレビ番組のように捉えられてきました。
しかし、現実には以下のような制限と依存関係があるため、巨大な商業施設で一区画を借りるような「借り物のメディア」と言えるでしょう。
- 配信場所:YouTubeやTwitchなど既存のプラットフォームに依存
- 収益源:広告や視聴者からの投げ銭(Super Chat、Bitsなど)
- 拡散の仕組み:アルゴリズムに左右される
そのため、プラットフォームのアルゴリズム変更や広告単価の低下、アカウント停止など、外的要因による影響を避けられません。
海外で始まる変化|自分の番組を運営する
自らメディアを築くクリエイターたち
プラットフォーム依存の課題を乗り越えようと、海外のクリエイターたちは新たな挑戦を始めています。彼らは場所を借りるのではなく、場所そのものをつくる発想から「番組の主」になってファンとつながろうとしています。
事例①自社プラットフォームを制作
約800万人のYouTubeチャンネル登録者を持つThe Try Guysは、BuzzFeedから独立後に自社の有料配信プラットフォーム「2nd Try」を立ち上げました。ここでは広告なしの独自コンテンツを提供し、月額メンバーシップによって安定した収益を得られています。
The Try Guysはメディア全体の運営によって、自社ブランドを創出することに成功しました。
事例②クリエイター主導のプラットフォームを活用
映画評論家のMaggie Mae Fishは、「Nebula」というクリエイター主導のプラットフォームで独占コンテンツを配信しています。
彼女はNebulaで「YouTubeでは規制により議論できない映画や主題について話す」と述べており、Nebulaとはクリエイターの創作意欲や世界観がより濃く反映される場であることがわかります。
事例③複合コンテンツによるエンターテイメント事業
Trisha Paytasは、マルチメディアによるエンターテイメント事業を展開しています。
Trishaは複数のYouTubeチャンネルを運営するほか、音楽活動やリアルイベント、TikTok・Instagram、ポッドキャスト、書籍などを戦略的に組み合わせて多くのファンを獲得してきました。
複数のプラットフォームでの発信をコントロールして、自社コンテンツ事業と呼べるほどの収益の流れを構築した好例です。
これらの事例に共通しているのは、以下の3点です。
- プラットフォーム依存からの脱却:YouTubeやTikTokを主戦場ではなく「入口」として位置付けている
- 届け方のデザイン:どこで、誰に、どんな体験として届けるかをクリエイター自身が主導している
- 収益構造のコントロール:広告やアルゴリズムに依存せず、視聴者との直接的な関係から価値を生み出している
クリエイターたちは配信先を変えただけでなく、自分の「番組」を企画から配信、マネタイズ、ファンとの関係性づくりまで一貫して設計し、新時代のクリエイターとして自らメディアを築きました。
アルゴリズムの波から降りるという選択
YouTubeやTikTokなどのプラットフォームでは、動画の表示頻度や再生回数がアルゴリズムによって左右されるため、クリエイター側ではコントロールしづらいのが課題です。
一方で、前述のような「自社メディア型」のクリエイターたちは、アルゴリズムに頼らず、視聴者との直接的な関係性に価値を見出しました。
彼らは「動画を投稿する」視点から「番組をつくり、届け方まで含めて運営する」という視点にシフトしています。
アルゴリズムによって見られるかどうかが決まる世界から離れ、自らの意思で番組を育てながらファンとのつながりを深めているのです。
これから起きるパラダイムシフト
クリエイター自身が運営する動きが広がっていくと、動画プラットフォームの役割も変わっていくでしょう。
- YouTubeやTikTokは発見と流入のための場所になる
- 視聴者とのつながりは独自配信メディアやアプリに蓄積される
- クリエイターは「番組の主」として、自ら番組編成・運営を行う
10万人の一過性の視聴者に見られるよりも、100人の熱狂的な視聴者に直接届けられる「番組」づくりに価値を求める時代が訪れています。
企業も「メディア化」が求められる時代に
この流れはクリエイターだけではなく、企業にも同様の変化が求められるようになっています。
SNS投稿やYouTubeチャンネルを広報ツールとする時代から、番組として設計されたコンテンツ戦略が求められる時代へとシフトしていると言えるでしょう。
しかし、単に動画を投稿するだけでは情報は届きません。企業がこれから考えるべきポイントは以下の通りです。
- 発信の中心をどこに置くか?(YouTube? 自社アプリ? オウンドメディア?)
- どのタイミングで誰に届けるのか?(リリースの曜日や時間帯、イベント連動など)
- アーカイブ化やシリーズ化、ストーリーとしての連続性はあるか?
- 熱量の高い視聴者との関係性を深められる導線設計になっているか?
このように、動画コンテンツを「広報ツール」から「事業・ブランドの一部」へと変化させる必要があります。企業は自社の戦略のために番組を設計するメディアとなることを求められています。
CloudTVが企業の「メディア化」を可能にする
Enlytでは、動画コンテンツの新しい潮流に対応したい企業に向けて、CloudTVを用いた動画パッケージを提供しています。
CloudTVは、単なる動画配信ツールではありません。企業が動画コンテンツを「番組」として設計・運営していくためのプラットフォームです。
CloudTVの主な特長
- 自社専用の動画配信アプリ・チャネルをスピーディーに構築
- ショート動画、シリーズ企画、イベント連動など多様な形式に対応
- スマホアプリ/STB対応で、顧客の視聴環境にあわせて柔軟に展開
- ブランド独自のUI/UXで、ユーザー環境を自由自在に設計
- 分析・セグメント配信・限定公開など、運用機能も充実
SNSやYouTubeはあくまで流入のためのチャネルとして、自社がコントロールできるメディアを持って、ファンとの関係性を深めるコアコンテンツを用意するべきです。
CloudTVは、まさに企業の「メディア化」を可能にするソリューションです。
まとめ:動画コンテンツ戦略は「投稿する」から「運営する」へ
本記事では、動画コンテンツの新しい潮流について、海外クリエイターの事例をもとに、番組の役割やクリエイター・企業が求められる対応などについて解説しました。
クリエイターたちは自分の「番組」を持つために、動画を「投稿する」視点から、メディアとして育て「運営する」視点へと移行しています。
企業にとっても同様で、動画コンテンツを、自社ブランドを体験できる場所としてデザインする時代が訪れています。
動画コンテンツの価値は、番組をどのように届け、ファンとどのような関係性を築くかまで含めた戦略によって高められるでしょう。
Enlytが提供するCloudTVパッケージは、新しい時代を拓く企業の「番組づくり・メディア運営」の第一歩を支援します。
動画を自社の武器に変えたい企業担当者の方へ。ぜひCloudTVの可能性をご相談ください。
