【イケてるサービス入門】仮想オフィスToday.lyはこうやってできた|サービスの企画・構想とは?
・サービスの企画ってどこから始まるのか?
・どうやってサービスって立ち上げるのか?
・Today.ly(仮想オフィス)ってどうやってできたの?
このような疑問を持ってる方にぜひ読んでいただきたい記事です。
今回の記事を読めばこれがわかる!
☑️ サービス企画のアイデアはコミュニケーションから生まれる ☑️ サービスを設計する際に大切にしていること ☑️ 企画したサービスを拡大していく上での苦労するポイント2つ
今回、SaaSサービスToday.lyの企画・構想を考えた本人の弊社Enlyt代表ホアンに実際にインタビューを行い、企画・構想段階での道のり・つまづいた点を伺いました。
簡単な代表ホアンのプロフィール:
名前: Truong Dinh Hoang(チュオン・ディン・ホアン)
年齢: 40歳(1980年生まれ)
国籍: ベトナム(日本永住権保持者)
出身地: フエ市(19-20世紀にかけて存在した阮朝の首都に定められていたベトナム中部の都市)
学歴: ベトナムと日本の大学でコンピューター・サイエンスと日本語を専攻
詳しくは、【社長インタビュー】スタートアップとポストコロナ〜VUCA時代における不安との付き合い方〜をチェックしてみてください。
目次
サービス企画のアイデアは物事を深く考えることから生まれる
Today.ly(仮想オフィスツール)の企画のアイデア
率直に伺います。Today.lyの最初のアイデアはどこからきたんでしょうか?
Today.lyのざっくりとしたアイデアは、僕のシンガポールの友人が、ボヤッとしていましたが、バーチャルでの「空間」があればな、、、と考えていたことが始まりでした。コロナが流行する前からこの考えは持ってはいたんですが、実際に動き始めたのは2020年5月ごろでした。世界中でコロナが蔓延し始めて、アメリカを皮切りに「会社に出勤できない」現象が万国共通になったこともあって、これは面白いんじゃないかと頻繁に友人とミーティングを行うことになりました。
アイデアはコミュニケーションの中で出てくることが多いですか?
普段からアイデアはいろいろ考えています。
自分で思いついたりするときも、人とのコミュニケーションの中でも、基本的には物事を深く考えることを意識しています。
アイデアだけでなく、人と話すことで気づくこと・学ぶことは会社を経営していても本当にたくさんあります。
Today.lyのアイデアの参考になったのは既存の2つのサービス
Today.lyのアイデアから素案までの道のりを教えてください。
まずはアイデアと似たような要素があるサービスはないか調査を始めました。
調べて見ると、3年前にはアメリカの会社のサービスでバーチャルオフィスのような空間を提供しているものがありました。イメージはオフィスのような空間でコミュニケーションというボタンを押すと、ZoomやSkypeなどのWeb会議ツールへ遷移をさせるようなUI/UXでした。
ただ、僕が想像していたのは、リアルのオフィスに入った時のように、オフィスに入った瞬間から喋れるような空間を作りたいということだったので、さらにコミュニケーションツールの調査も行いました。
そこで見つかったのが、プロゲーマーが実況やオンラインで会話をしながらゲームを楽しむ際に裏側で動いているツールがあり、参考にできるのではないかと思いました。
ゲームを始める(=ゲームの空間にログインする)とその瞬間からコミュニケーションができる、というのはオフィスという空間に入った瞬間からコミュニケーションができると似ているなと。
そこから、素案としてまずは今のような部屋のUIとログインしたら喋り始めることができるゲームの世界を参考にワイヤーを書きました。
会議室の最終UIイメージ↑
ワイヤーを書いてからはどう詰めていくのでしょうか?
まずは実現可能か?Today.lyの場合、どうすれば音声を常につなげて話せる状態にできるのか?などを設計や技術面のチーム組んで、徹底的にリサーチをしました。その後、技術検証を2~3ヶ月ほど行いました。もちろん、この期間にユーザーテストも行い、実際にニーズがあるということも確認し、実際にツール開発を着手する際のチーム構成・リソース調整を行いました。
サービスを設計する際に大切にしていること2つ
①軸になるサービスの特徴・コンセプト
Today.lyを作るにあたって意識したポイントはなんですか?
Today.lyの絶対的な特徴は、リアルのようなオフィスの「空間」に入って、雑談などのコミュニケーションをすぐに始められることです。
リアルのオフィスのように受付を用意する、ランチデリバリーボタンを設置する、などアイデア自体はたくさんあるんですが、まずは最低限必要な絶対的な特徴として「空間」に入ることと「コミュニケーションがすぐに始められる」ことを意識して作りました。
アイデア自体はたくさんあるということは今後もToday.lyは進化していくのでしょうか?
もちろん、進化し続けます。
エンゲージメントを高めるために仮想空間内で「ブロックチェーンを使ったCoinの仕組み」のようなものを用意してみるとか、オフィスの1席ごとに空間を分けて、フリーランスや個人で仕事をしている人向けに仕事のオファー出しとオファー受けができたりなど、考えていることは多々あります。
一方で、少し立ち止まって、ユーザーのニーズとあっているかしっかり確認することも大切です。
Today.lyもリリース後、実際にユーザーに使ってもらうと、意外と想定していなかった機能を頻繁に使っていただいていることもわかりました。MTGや雑談などの「空間」提供するラウンジ機能が人気で、ランチタイムのちょこっとしたコミュニケーションツールとして使用していただいていることがヒアリングでわかりました。
リモートワークを行うとき、どれだけリアルなオフィスに近い体験をWeb上で再現できるかという視点で開発の初期段階では想像できない意外なポイントだったと思います。そのため、ラウンジ機能はリッチにしようと決断し、すぐ改善を行いました。
②実際に使用してもらったユーザーの声を聞いての改善
ユーザーの声を聞い具体的にどう改善したのでしょうか?
ランチタイムのちょこっとしたコミュニケーションツールとして使用するということから、同じ空間でも、複数のグループで雑談をしたい、話したいという声をもらいました。そこで、オフィスや、会議室を選べる空間の1つにラウンジがあるのですが、そのラウンジを大幅に変更しました。
もともとはラウンジに入室したら全員に会話が聞こえる仕様となっていたのですが、現在はアイコンを一定距離以上に近づけた時のみ会話が聞こえる使用となっています。
同じラウンジ空間でも複数グループでの会話が可能にすることができました。
詳しくは、【イケてるサービス入門】ゼロイチSaaSサービスToday.ly開発のフロー|今後の展望までを一挙公開をチェックして下さい!
企画したサービスを拡大していく上での難点
ユーザーに使ってもらうまでの難しさ
サービスを実際にユーザーに使ってもらうまでに苦労した点を教えてください。
1つ目は技術面です。
Today.lyの場合、最初のリリースでは150~160人がアクセスできるぐらいのサーバーのスペック、通信方法でリリースしました。そのため、使用するユーザーが一気に増えてしまうと、サーバ負担が大きくなり、サービスが機能しなくなってしまうため、大人数に対応できるインフラ設計が必要になる事が分かりました。
そのため、オフィス空間内での会話の始め方なども含めて、リサーチチームを作り調査・研究を繰り返し、実装方法を模索しています。
そこが解決すると、社員をたくさん抱えていらっしゃる企業や、団体にToday.lyの紹介ができたり、認知を高めたりとサービス拡大に向けたステップアップができると考えています。
2つ目はセールス面です。
世の中にまだ知られていない無名のプロダクトを、より多くのユーザーに認知してもらい、使っていただくまでの過程の模索がゼロイチのSaaS型サービスの難しいところだと考えています。
やはり、ユーザーからすると、既存のツールをベースに実際に自分が使用しているイメージを思い描く方が簡単なため、既存のツールと切り離して考えるのが難しいのだと思います。
例えば、Today.lyの場合も、Slackの代わりになりますか?と聞かれることが多々あります。僕たちはSlackのコンセプトとは違うよ、と説明するのですが、バーチャルオフィス機能の中にSlackも入っていれば最高なのに、、、という意見をたくさんいただいています。
もちろん、Todaly.lyはチャット機能を搭載しています。しかしながら、リリース時のバージョンにSlackのような詳細な機能を全て揃えることは、ゼロイチの開発面で難しいところがあるのが辛いところです。今後、継続的に改善を加えていくにしても、Today.lyの将来性をいかにアピールできるかがセールスの鍵かと思っています。
一方で、リアルなオフィスに出来る限り近い体験をWeb上で再現できるかという視点は常に持ち続けています。ランチタイムのちょこっとコミュニケーションのように、ユーザー目線での提案をできるよう、セールスチーム含め、社内でベストプラクティスを絶賛探しているところです。
サービス改善のスピード
とすると、SaaS型のサービスの拡大は何が必要でしょうか?
僕はSaaS型のゼロイチのサービスを売っていくには、マーケットをフィットさせていくことが必要と考えています。実際にプロダクトやサービスを使ってもらって、便利さをユーザーに実感してもらう。その過程で、僕たちも、ユーザーの声を聞いて改善を行っていく。
つまり、いかに速くサービスをリリースし、いかに速く失敗して、いかに速くフィードバックをもらって軌道修正できるか、というところのスピードがサービス拡大の根幹と信じています。
Today.lyは今まさにそれを行っている状態なので、今後の展開にとてもワクワクしています。
まだまだ何がいいのか、どうすればいいのか、ベストプラクティスが分かっていない状態です。しかし、見えない部分が多いからこそ面白みがある、チャレンジする価値があると僕は思います。
まとめ
今回の代表ホアンへのインタビューではゼロイチのサービス企画・設計・構成についてインタビューし、記載したようなサービス企画に対する大事なことだけでなく、ゼロイチの難しさに直面しながらも、仕事に対するワクワクや、楽しいという様子が見て取ることができました。
EnlytのSaaS事業が気になる方はぜひ自社プロダクトページもチェックしてみてください!
Enlytについて
株式会社Enlytはベトナムに開発拠点SupremeTechを持ち、これまで50以上の開発プロジェクトを行ってきました。ベトナムと日本のグローバルなチームで、数多くのプロジェクトを成功に導いてきました。
お客様の納得のいくまで、共に開発させていただき、アイデアを最高のかたちにサービス化いたします。
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