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モバイルオーダーとは?仕組みと種類、導入前に決めておくこと

スマートフォンで注文して、できあがった商品を受け取る。飲食店で見かける機会が増えたこの仕組みを、「モバイルオーダー」と呼びます。

いまでは飲食店に限らず、映画館やテーマパーク、新幹線のグリーン車でもモバイルオーダーが使われています。首都圏・関西圏・東海圏の20歳から69歳を対象にした調査では、店内で自分のスマートフォンから注文した経験がある人が72.5%でした。

この記事では、モバイルオーダーの仕組みと種類を整理したうえで、店舗側が導入を考えるときに何を決めておくかまで書きます。既製のサービスで足りるのか、作る必要があるのか。その分かれ目が、相談を受けていてよく出てくる論点だからです。

Enlyt(エンライト)では、大手コーヒーブランドチェーンのモバイルオーダー機能を含むアプリ開発など、様々な開発を実際に行ってきました。

システム開発をお考えなら、
私たちEnlytエンライトにご相談ください。
お客様の業務内容や目的を伺い、必要な機能と進め方を一緒に整理します。どんな開発をしてきた会社か、実績とサービス内容をご覧ください。

サービスを見る開発事例を見る

目次

モバイルオーダーとは?

スマートフォンから注文して受け取る仕組み

モバイルオーダーは、利用者が自分のスマートフォンから商品を選び、注文する仕組みです。多くの場合、決済まで画面上で済ませられます。

流れを分けると、おおむね次の4つになります。

  • 注文する QRコードを読み取るか、アプリやWebサイトを開いてメニューを選ぶ
  • 支払う その場で決済する形と、受け取り時や退店時に支払う形がある
  • 店舗に届く 注文の内容が厨房やカウンターに伝わる
  • 受け取る 席まで運ばれる形と、カウンターで受け取る形がある

紙のメニューと口頭の注文を置き換える仕組みに見えますが、店舗側から見ると、注文が最初からデータの形で入ってくるところが違います。あとで触れるとおり、このデータをどこへ流すかが導入の設計を左右します。

セルフオーダー、テーブルオーダーとの呼び分け

似た言葉がいくつもあって、しかも使われ方がそろっていません。業界団体や公的機関が定義した文書は見当たらず、呼び方は出典によって変わります。

出典用語の使い方
ホットペッパーグルメ外食総研「外食店利用時の注文ツールの利用実態・意向調査」セルフオーダーは利用者自身のスマートフォンで注文するもの。座席備え付けの端末は「テーブルトップオーダー」として分けている
Squareモバイルオーダーの解説で、利用者が自分で注文する仕組みの総称を「セルフオーダーシステム」としている。モバイルオーダーを含む上位の言葉
NECモバイルオーダーを「店頭で商品を受け取るシステム」と定義している。一方で同じページに店内型という分類も置いている

同じ「セルフオーダー」でも、この調査では自分のスマートフォンに限った狭い意味で、ベンダーの解説では総称として使われています。打ち合わせで言葉が噛み合わないと感じたら、名前ではなく「誰の端末を使うのか」「どこで受け取るのか」を確認すると認識が揃いやすくなると思います。

モバイルオーダーの種類

店内注文・持ち帰りと、支払い方法の違い

まず、店内で注文する形と、持ち帰りの商品を注文する形に分けて整理します。支払いのタイミングは別の軸として確認します。業界で統一された分類ではなく、SquareやNECなどベンダーの解説で広く使われている整理だと受け取ってください。呼び名も出典によって変わり、NECはイートイン型を「店内型」と呼んでいます。

型注文の仕方受け取り方
イートイン型(店内型)席に置かれたQRコードを読み取って注文する席まで運ばれる。追加注文も席から
テイクアウト型来店前にアプリやWebから注文して決済する指定した時間にカウンターで受け取る

これに「キャッシュオン型」を加えて3つとする整理もあります。ただしキャッシュオン型は注文と同時に支払う形を指していて、支払いのタイミングという別の軸の話です。店内と持ち帰りのどちらにも組み合わせられるので、上の2つと並べると分かりにくくなります。

型によって、店舗側で変わるものが違います。イートイン型は席と注文の紐づけが要り、テイクアウト型は受け取り時間の管理が要ります。どちらを先に入れるかで、必要な機能も運用の変わり方も変わります。

飲食店以外にも広がっている

モバイルオーダーという言葉から飲食店を思い浮かべがちですが、実際にはほかの業種でも使われています。公開されている例をいくつか挙げます。

場所注文の仕方受け取り方
東海道新幹線(のぞみ・ひかりのグリーン車)座席のQRコードを読み取り、自分のスマートフォンから注文パーサーが席まで届ける
イオンシネマ劇場ロビーのポスターのQRコードを読み取って注文受渡しカウンターで画面を見せて受け取る
東京ディズニーリゾート公式アプリから注文。入園後のみ利用できる指定した来店時間に店舗で受け取る

並べてみると、受け取り方が分かれています。新幹線は席まで届きますが、映画館とテーマパークは受け取り場所まで取りに行く形です。同じモバイルオーダーという言葉でも、席まで運ぶ設計と、受け取り口に呼び出す設計では、必要な仕組みも店舗側の動き方も変わります。

東海道新幹線は、2023年10月31日で車内のワゴン販売を終了し、グリーン車のモバイルオーダーに切り替えました。2026年10月1日からは、グリーン車より上のクラスにあたるSupreme Classが東海道・山陽新幹線に加わっています。こちらは座席に備え付けのタブレットから注文する形で、グリーン車で扱っている商品に加えてSupreme Class限定の商品も用意されています。まず個室型のCabinから始まり、Seat型は2027年度中の予定です。

イオンシネマの案内を見ると、モバイルオーダーに加えて、劇場ごとにセルフオーダー端末または有人レジが用意されています。ドリンクやポップコーンの引換券はモバイルオーダーでは使えず、そちらを使う必要があると書かれています。全部を一本化するのではなく、使える場面ごとに手段を残しておく形が現実的だということが読み取れます。

どのくらい使われているか

利用経験率は7割を超えた

ホットペッパーグルメ外食総研の「外食店利用時の注文ツールの利用実態・意向調査」が参考になります。2021年11月から断続的に実施されていて、2026年のものが4回目です。実査は2026年7月31日から8月14日、公表は同年9月14日。首都圏・関西圏・東海圏の20歳から69歳の男女が対象で、有効回答は8,085件です。

注文ツール2021年2026年
テーブルトップオーダー(座席備え付けの端末)73.4%79.5%
セルフオーダー(自分のスマートフォン)26.0%72.5%
テイクアウト時のモバイルオーダー調査なし52.6%

自分のスマートフォンで注文した経験がある人は、5年で26.0%から72.5%になりました。座席備え付けの端末も79.5%まで上昇していて、報告書はこれを過去最高としています。ただし2021年からの伸び幅で見ると、自分のスマートフォンを使う形のほうが大きくなっています。

今後もモバイルオーダーを使いたいかどうか

同じ調査で、今後の利用意向はテーブルトップオーダー69.5%、セルフオーダー54.2%、テイクアウト時のモバイルオーダー53.2%でした。前回調査からの変化は順に0.4ポイント増、1.7ポイント増、増減なしです。

経験率ほどの勢いはありません。使ったことはあるけれど積極的に使いたいとまでは思わない、という層が一定数いることになります。

店内の注文ツールを使いたい理由としては、「自分の都合の良いタイミングでオーダーできるから」が47.5%、「店員を都度呼ぶことに気が引けるときがあるから」が35.0%、「1人でも利用しやすいから」が23.9%、「待ち時間によるストレスが減るから」が22.6%でした。この設問は、テーブルトップオーダーとセルフオーダーをまとめて聞いたものです。

店舗側のモバイルオーダーの導入状況

同じ外食総研の「飲食店DX調査」では、「セルフオーダー・スマホオーダー」の回答が2025年調査で18.9%、2026年調査で18.1%でした。前回差はマイナス0.8ポイントです。ただしこれは導入済みと検討中を合わせた数字で、導入済みだけの割合ではありません。2025年調査では、導入済み8.5%に対して検討中10.5%と、検討中のほうが多い状態でした。2026年の調査は同年2月26日から3月5日に実施され、7月14日に公表されています。なおこの選択肢は「セルフオーダー・スマホオーダー」とひとまとまりになっていて、卓上のタブレットも含まれます。自分のスマートフォンで注文する形だけの導入状況ではありません。

利用者側の経験率が伸び続けているのに対して、店舗側の数字は横ばいに入りました。2026年の報告書も、導入に前向きな層の導入フェーズが一段落したとも考えられる、としています。チェーン店で使った経験が、そのまま個人店や小規模な店舗に広がっているわけではありません。

背景にある人手の状況も見ておきます。厚生労働省の一般職業紹介状況(令和8年8月分、2026年10月2日公表)の参考統計表で、職業別・常用(パートを含む)の原数値を見ると、職業計の有効求人倍率1.06倍に対して、接客・給仕の職業が2.31倍、飲食物調理の職業が2.21倍でした。なお同じ月のニュースで出てくる有効求人倍率1.18倍は季節調整をした全体の値で、この表とは集計の基準が違います。並べて比べるものではありませんが、飲食の現場で求人のほうが多い状態が続いていることは読み取れます。

帝国データバンクの調査(2026年7月)でも、非正社員が不足していると答えた割合は飲食店が57.7%で、業種別の比較ではほかより高い水準でした。ただし前年同月比では4.1ポイント下がっていて、悪化し続けているわけではありません。

店舗側のメリットとデメリット

モバイルオーダーを導入して変わること

  • 注文を受ける作業が減る。注文を取りに行く往復と、伝票を書く手間がなくなる
  • 聞き間違いや書き間違いが起きにくくなる。注文がそのままデータで届く
  • 追加注文のハードルが下がる。利用者が店員を呼ばずに頼めるため
  • 注文の内容が記録として残る。何がいつ売れたかを後から見られる
  • 言語の切り替えに対応できる。多言語に対応したサービスであれば、同じ画面を言語ごとに出し分けられる

Enlytで相談を受ける場面では、人手の削減よりも、ピーク時に注文を取りきれないという話のほうが先に出てくることが多いです。注文を受ける人が足りずに機会を逃している店舗では、効果が見えやすい仕組みだといえます。

モバイルオーダーを導入して増える手間

  • オペレーションを組み直す必要がある。誰が注文を確認し、誰が運ぶのかを決め直すことになる
  • スタッフが覚えることが増える。使い方の説明と、動かないときの対応の両方
  • 操作に慣れていない利用者への対応が残る。注文を代わりに受ける手段は用意しておくことになる
  • 費用が継続して発生する。初期の導入分だけでなく、利用料や決済手数料が毎月かかる

最後の点は見落とされやすいところです。導入時の費用だけで判断すると、何年か使ったときの総額が想定とずれます。比べるときは、初期の費用と運用の費用を同じ期間でそろえてから並べたほうが判断しやすくなります。

モバイルオーダーを利用者から見たとき

利用者にとっては、待たずに注文できることと、自分のペースでメニューを見られることが利点になります。先ほどの調査でも、店員を呼ぶことへの気兼ねが理由の上位に挙がっていました。

一方で、現金が使えない場面があります。イオンシネマのモバイルオーダーは、現金での購入ができないと明記されています。事前に決済を済ませる形にすると、支払い手段はキャッシュレスに絞られます。そこを絞るかどうかは、客層を見て決める判断になります。

既製のモバイルオーダーシステムでできること

導入を考えるとき、最初に当たるのは既製のサービスです。注文画面、メニュー管理、決済、店舗側の管理画面がひととおりそろっていて、短い期間で始められます。

ここでは特定のサービスを勧めるのではなく、公式サイトに書かれている範囲から、確認しておきたい点を挙げます。

既存のPOSレジとつながるか

先に確かめておきたいのがここです。自社のPOSとの連携を中心に案内するサービスもあれば、他社のPOSとの連携に対応するサービスもあります。対応している機種だけでなく、注文・売上・在庫のどのデータが連携されるのかまで確認しておきたいところです。

  • STORESは、自社レジと連携すると注文が自動で反映されるとしたうえで、それ以外のPOSやレジとの連携可否と連携範囲は利用中のシステムによって異なるため問い合わせてほしい、としています
  • USENのモバイルオーダーは、自社レジの契約は必須ではないものの、契約がある場合にテーブル情報や在庫情報を連動できる、と案内しています
  • ぐるなびFineOrderは、POSシステムとの連携でレジの二度打ちが不要になるとしたうえで、連携できるPOSについては別途問い合わせてほしい、としています。他社のPOSとの連携も進めていて、NECプラットフォームズやクオリカのPOSとの連携開始を公式に発表しています

STORESとぐるなびFineOrderは、POSと連携すると会計の二度打ちが不要になる、と連携の利点として書いています。裏を返すと、少なくとも会計をPOS側で行う構成では、連携していなければ受けた注文をスタッフがPOSに入れ直す運用が残りやすいということです。テイクアウトの事前決済のように会計がモバイル側で完結する形なら、店頭での支払い対応は減ります。ただし売上や在庫をPOS側へ反映する必要がある場合、それを手作業で行うかどうかは連携の範囲によって変わります。どの構成を取るかで変わる話なので、見積もりの前に確かめておきたいところです。

いま使っているPOSを変えないのであれば、候補のサービスがそのPOSに対応しているかを、商談の最初に聞いておくことをおすすめします。

多言語に対応しているか

観光地や都市部の店舗では、ここが効きます。対応状況は公式サイトでの書き方に差があります。

  • USEN Mobile Orderは、日本語、英語、韓国語、中国語(簡体字・繁体字)の5言語に対応していると明記しています
  • ぐるなびFineOrderも、メニューを日英繁簡韓の5言語で表示できるとしています
  • STORESは、対応言語や切替方法など多言語表示の対応範囲については個別に案内する、としています

どの言語に対応するかだけでなく、メニューの翻訳を誰が用意するのかも確認しておきたいところです。画面の言語が切り替わっても、メニュー名や説明文は店舗側で用意することになる場合があります。

公式サイトでは分からないことが多い部分

公式サイトを読み比べると、書かれていない領域がはっきりしてきます。要件として外せないものがここに入っている場合は、早い段階で個別に確認しておく必要があります。

確認したいこと公式サイトでの扱い
複数店舗での運用(店舗ごとのメニュー、在庫、権限)「複数店舗管理」「本部管理」といった機能名までは出てくるが、粒度の説明はほとんど見当たらない
自社で持っている会員証やポイント制度との接続同じベンダーのCRMやポイント機能との連携は書かれているが、他社のシステムで動いている自社の制度とつなげるかは書かれていない
画面デザインの変更配色やレイアウトを自由に変えられると明記しているサービスもあるが、用意されたレイアウトからの選択にとどまるものもある

とくに2つ目は、既製で足りるかどうかの分かれ目になりやすいところです。すでに会員証やスタンプカードを別の仕組みで運用している店舗が、モバイルオーダーだけ別のサービスで入れると、顧客の情報が2か所に分かれます。

導入の進め方を選ぶ

進め方は3つに分かれる

既製か、全部作るかの二択ではありません。あいだに、既製のサービスを土台にして足りないところを足す形があります。

進め方検討する場面
既製のサービスをそのまま使う標準の機能で必須の条件を満たせる
既製のサービスに連携や拡張を加えるAPIやオプション、個別の対応で足りないところを補える
個別に開発する既製のサービスと拡張を組み合わせても、必須の条件を満たせない

個別の開発を検討するのは、既製のサービスの標準機能・オプション・連携機能では、必要な業務や既存システムとの接続条件を満たせない場合です。連携が必要だというだけでは、個別開発の理由になりません。既製のサービスにも、会員やポイントとつなぐ仕組みを用意しているものがあります。

どこで分かれるか

相談を受けていて論点になりやすいのは、次のあたりです。いずれも「できる・できない」で割り切れるものではなく、対応している機能の範囲と、連携でどのデータをやりとりできるかで変わります。

やりたいこと見るところ
1店舗から数店舗で、注文を受けるところだけ変えたい標準の機能で収まることが多い
いま使っているPOSを変えずに、注文データを流し込みたい対応機種と、連携されるデータの範囲
自社の会員証やポイントと、注文の履歴をひとつにまとめたい対応している機能と連携の範囲、扱うデータの持ち方
注文のほかに、予約や順番待ち、クーポンも同じ入口に載せたい同じ提供元でそろえられるか、別々のサービスをつなぐことになるか
店舗ごとにメニューや価格、担当者の権限を細かく分けたい要件の細かさと、管理画面でどこまで設定できるか
自社のブランドに合わせて画面を作りたい配色やレイアウトの変更で足りるか、画面構成から変えたいか

判断するときは、できるかどうかだけでなく、そのやり方を選んだときに何が残るかまで見てください。別々のサービスをつなぐと、入力を二度行う場所が生まれたり、オプションの追加で費用が積み上がったり、トラブルのときの問い合わせ先が分かれたりします。対応可否の表だけでは、この部分が見えません。

この見極めは、作るかどうかを決める前の調査そのものです。何が決まっていないのかを問いの形に書き出してから調べると、範囲が決まりやすくなります。進め方はフィジビリティスタディとはで整理しています。

利用者の入口をどれにするか

進め方とは別に、利用者がどこから注文するかという軸があります。これは既製のサービスを使う場合にも選ぶことになります。既製のサービスのなかにも、LINEミニアプリの形で提供するものや、自社ブランドのアプリから使えるようにするものがあるためです。QRコードとURLはどちらもブラウザで開くための入口なので、同じ行にまとめています。

入口利用者の手間向いている場面
ブラウザで使うWebアプリQRコードを読む、またはURLを開く。専用アプリのインストールは不要初回来店客にも使ってもらう。自社サイトやSNSから注文へつなぐ
LINEミニアプリLINEから利用する。専用アプリのインストールは不要LINE公式アカウントや会員証などと入口をまとめたい
自社のネイティブアプリインストールが必要来店頻度が高く、通知や会員機能をまとめたい

既製のサービスでも、ぐるなびFineOrderはLINEミニアプリへの対応を案内し、初回注文時のQRコードの読み取りで公式アカウントの友だち追加につなげる形を示しています。STORESも、自社ブランドのアプリからモバイルオーダーを使える形と、ポイント機能との連携をオプションとして案内しています。入口の形を変えたいからといって、すぐに個別開発になるわけではありません。

アプリの形そのものの違いはモバイルアプリとはで扱っています。

LINEミニアプリを選ぶときに知っておきたいこと

LINEミニアプリは、LINEの中で動くウェブアプリです。利用者がアプリをインストールする必要がなく、LINEヤフーの案内でも用途のひとつとしてモバイルオーダーが挙げられています。来店のたびにアプリを入れてもらうハードルを越えなくて済むところが、店舗との相性につながります。費用の考え方はLINEミニアプリの料金相場で扱っています。

検討するときに押さえておきたい点を挙げます。

  • 決済の手段を選んで組み込む。日本国内のLINE Payは2025年4月30日に終了しているため、公式ドキュメントでも日本で使える決済はアプリ内課金とその他の決済方法とされている。アプリ内課金は対象がデジタルコンテンツに定義されているので、飲食の代金をオンラインで受け取る場合は、決済代行サービスなどを選んでミニアプリに組み込むことになる
  • 認証済みのミニアプリにするには審査がある。LINEヤフーによる審査で、1週間から2週間ほどかかるとされている。却下されて再申請すると、さらに日数がかかる。予約や支払い、注文といった操作を含む場合は、テストの手順を補足資料に添える
  • 注文完了などの通知には制約がある。認証済みのミニアプリで使えるサービスメッセージは、用意されたテンプレートの範囲で、ひとつの操作につき最大5回まで。値下げや割引クーポンといった販促の通知には使えない
  • LINEのユーザーIDと自社の会員IDを結びつける仕組みは、LINE側では用意されていない。会員制度とつなぐなら自社側で実装することになる

再来店を促したい場合、注文完了を知らせるサービスメッセージと、LINE公式アカウントから配信する販促のメッセージは別のものです。前者は取引に伴う通知として用意されたテンプレートの範囲で送るもので、後者は公式アカウントの機能として配信するものになります。再来店の設計をするなら、後者を組み合わせることになります。

なおLIFFとLINEミニアプリは並ぶ選択肢ではなく、ミニアプリがLIFFの上で動く関係です。公式ドキュメントには両者を統合する予定が書かれていて、新しく作るならミニアプリとして作ることが推奨されています。違いはLINEミニアプリとLIFFアプリの違いで詳しく扱っています。

Enlytでも、LINE上に店舗向けの仕組みを作る案件を担当しています。たとえば長崎県松浦市のLINEミニアプリ開発の事例では、飲食店舗の情報と営業状況をLINE上で確認できる形にしました。アプリのインストールを不要にすることで、観光で訪れた人にもその場で使ってもらえる設計にしています。発注元は自治体で、この事例に注文の機能は含んでいません。

導入前に整理しておくこと

決めておきたい項目

見積もりを取る前に、次のあたりを言葉にしておくと、比較がしやすくなります。

アプリ画面のイメージ
項目決めておく内容
目的注文を取る人手を減らしたいのか、ピーク時の機会損失を減らしたいのか、再来店を増やしたいのか
対象の範囲店内だけか、持ち帰りも含めるか。どの店舗から始めるか
つなぐ先いま使っているPOS、会計システム、会員制度、予約の仕組み
支払い手段現金を残すか。残す場合の運用をどうするか
言語必要な言語と、メニューの翻訳を誰が用意するか
許容額初期の費用と運用の費用を合わせて、どの期間でいくらまで出せるか
受注と提供の上限混雑時に注文を止める方法、受け取りの枠、売り切れの反映、厨房で処理できる量
例外と障害への対応キャンセルと返金、重複した注文、通信が切れたとき、注文が厨房に届かなかったとき
効果の測り方何の数字がどう変われば成功とするか

許容額と効果の測り方がそろっていないまま相見積もりを取ると、金額の安い順に並べるしかなくなります。期間をそろえた総額と、測る数字を先に決めておくと、提案の中身で比べられるようになります。

受注と提供の上限も、見落とされやすいところです。注文を取りきれない状態が解消されても、調理と提供が追いつかなければ、待ち時間が別の場所に移るだけになります。ピーク時に受けられる量をどこで止めるか、売り切れをどう反映するかまで決めておくと、公開後に慌てずに済みます。

補助金を使う場合

中小企業がITツールを導入するときの補助制度は、2026年度から名称が変わっています。従来のIT導入補助金は「デジタル化・AI導入補助金2026」になりました。公募は回ごとに締切が設けられていて、締切日は更新されていきます。検討する場合は公式サイトのスケジュールで確認してください。

枠によって対象になる経費が違う点は、押さえておく価値があります。通常枠はソフトウェアの購入費とクラウドの利用料、導入関連費が対象で、ハードウェアは含まれません。インボイス枠のうちインボイス対応類型では、会計・受発注・決済のいずれかの機能を持つソフトウェアとあわせて導入する場合に限り、タブレット等やレジ・券売機も対象になります。

使えるかどうかは、導入したいツールが補助対象として登録されているかに加えて、申請する事業者の要件、対象になる経費、申請の時期といった条件で決まります。登録されたツールを支援事業者と一緒に申請する仕組みです。

注意したいのは、補助の対象になるのが登録されたツールの導入にかかる費用だという点です。個別に開発する場合の費用がそのまま対象になるわけではありません。既製のサービスを入れる話と、作る話とでは、補助金の扱いが変わります。

事前に決済を受けるときの論点

注文のたびにその都度支払う形であれば、商品代金の前払いにあたります。一方で、アプリに残高をチャージしてもらう、回数券のような形にするといった設計にすると、資金決済法の前払式支払手段に当たる可能性が出てきます。

前払式支払手段に当たるかどうか、また適用除外になるかどうかは、使える範囲や有効期間、発行の方法などによって変わります。残高を持たせる仕組みを考えている場合は、早い段階で財務局や専門家に確認しておくことをおすすめします。

よくある質問

モバイルオーダーとセルフオーダーは違うものですか

出典によって使い方が変わります。外食総研の「注文ツールの利用実態・意向調査」では、自分のスマートフォンで注文するものをセルフオーダー、座席備え付けの端末をテーブルトップオーダーと分けています。一方でベンダーの解説では、利用者が自分で注文する仕組みの総称としてセルフオーダーを使う例もあります。やりとりするときは、誰の端末を使うのかを確認すると誤解が減ります。

小さい店舗でも導入する意味はありますか

席数よりも、注文を取る人手が足りているかどうかで決まります。ピーク時に注文を取りきれず、追加注文の機会を逃しているなら、規模が小さくても効果は見込めます。逆に、席数が少なくて目が行き届いているなら、優先度は下がります。

既製のサービスと作るのとでは、どちらがよいですか

二択ではなく、既製のサービスをそのまま使う、既製のサービスに連携や拡張を加える、個別に開発する、の3つで考えてください。個別の開発を検討するのは、既製のサービスの標準機能やオプション、連携機能では、必要な業務や既存システムとの接続条件を満たせない場合です。先に、つなぐ先と外せない条件を書き出してみてください。

現金を使いたいお客様への対応はどうすればよいですか

モバイルオーダーをキャッシュレスに限り、現金の注文は従来どおりレジで受ける形が多く見られます。イオンシネマのように、モバイルオーダーに加えて、劇場ごとにセルフオーダー端末または有人レジを用意している例もあります。すべてを置き換えるのではなく、並べて残すほうが現実的な場面もあります。

導入までどのくらいかかりますか

既製のサービスを使うか、作るかで大きく変わります。作る場合、LINEミニアプリを認証済みのミニアプリとして提供するなら審査があり、LINEヤフーの案内では1週間から2週間ほどとされています。却下されて再申請すると、さらに日数がかかります。公開したい日から逆算するときは、この期間を見込んでおいてください。

多店舗で使うときに気をつけることはありますか

店舗ごとにメニューや価格を変えられるか、在庫をどの単位で持つか、誰がどこまで操作できるかを確認してください。この粒度まで公式サイトで説明しているサービスは多くないので、要件があるなら個別に聞くことになります。

ご相談はこちらから

Enlytでは、受注前の無料コンサルティングをご用意しています。既製のサービスで足りるのか、作る必要があるのか、まだ判断できていない段階からご相談いただけます。

いまの注文と会計の流れ、つないでいるシステム、実現したいことを伺い、開発範囲・機能・進め方を整理した要件まとめをドキュメントでお渡しします。多くの案件では暫定のUIフロー図もあわせて作成し、認識をすり合わせたうえで概算見積提案書をご説明します。

LINEミニアプリの開発や、店舗向けの仕組みづくりも担当しています。何から決めればよいか分からない段階でも差し支えありません。

既製のサービスで足りるか、作るべきか。迷ったら私たちEnlytエンライトにご相談ください!

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